241:松本晶
2011/08/10(水) 13:22:16.82 ID:THe1ZiM60
「だろうな。涼宮ハルヒの能力に対して急進的な姿勢をとったことのある組織ならば、先ず間違いなくその方策を考えたことがあるはずだし、実際に僕達も同じことをしようとしたからこそ、今こうして言えるわけだ。断言は出来ないがこれがもっとも相応しい推測だろうな」
藤原君はかつて敵だったという経緯もあってか、随分無機質なものの言い方をしてくれる。
「あまり愉快な話とは、言い難い」
「だがこうして効率的に成らざるを得ないっていうことも、解るだろう?」
もちろん、解っているからこっちの言い方も控えめなんだけれど。
「状況から考えて、当面の目標はもともとの僕が来た理由であるそれと同じく、『鍵』の開放たったひとつに尽きるな。行動を起こすのは明日の零時十五分からだ、良いな? どうせ明日もまともに出席できはしないだろうから、九曜は学校の出席を何とかする算段を付けておけ。あまり不自然に振る舞って面倒が増えるのも困るからな」
「----大丈----夫」
周防さんは久しぶりに口を開いて、一言だけ喋った。佐々木さんがフォローする。
「周防さんが、偽物の僕達を作ってくれたんだ。いやあ、流石宇宙人ってのはなかなかにいろいろとできるものだね。今はまだ授業中だから心配ないが、三時を過ぎたらむしろ本物の僕達こそがSOS団に見付からないように気をつけなければいけないよ」
「・・・そうか」
藤原君は少し考えを纏めるように口を結び、それから言い放った。
「正午の時点で偽物をわざわざ作るほどのことだったのか、このひとつっきりの欠席が? もともと正直に欠席を告げれば良いぐらいのことだったはずだろう。奴らに涼宮がらみのことを特別秘密にしているわけでもないのに、よっぽどお前はこのことは知られたくないらしいな、九曜」
「-------」
周防さんは微動だにさえしない。藤原君の疑問はあのとき周防さんに涼宮さん達に事態を教えることを止められた、その時の私の考えそのものだった。
「それはどうしてだ? 何を隠している?」
「あまり人数を増やすのは好ましくない」
「それがどうしてかを訊いているのだが、伝わらなかったのか?」
「答えられない」
「・・・・・フン。お前が何を考えているかは知らないが、何にせよお前の力無しには始まらないからな。今の内は放っておくが、いつまでもそう黙りではいかんとだけ覚えていろ。もしかしたら僕の話したことだって、お前は最初から知っていたんじゃないのか?
なぁ、佐々木。もしかしたら本当の敵とはこいつのことかも知れないぞ?」
「-----------」
今すぐ面打ちでも始めかねない睨み合いを見かねたか、佐々木さんがなだめるように口を出す。
「藤原君、言動の動機はわかるけれど、それにしても言い過ぎだよ。それにこうしていても埒があかない。一端解散をして、藤原君の行ったとおりの時間に病院に集まろう。それで良いじゃないか」
「------------」
「僕の言い出したことだ、異論はない」
九曜さんと藤原君は矛を収めて、別々の方向を向いた。
* * *
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