27:松本晶[saga]
2011/03/04(金) 12:58:40.98 ID:8cQHTaIl0
* * *
それからの不思議探索はいつも通りだった。喫茶店に集まって、班分けをする。けれど私は平時のごとく図書館に、今回は古泉君と一緒に、行った。
不思議なんてものは見つからなかった。けれど、涼宮さんはひどく機嫌が良かった。
(多分、簡単に見つかるものなんて不思議じゃない、とか思ってるんじゃないのかな)
そう思っていると、解散の時に涼宮さんは言った。
「今日も徒労に終わるなんて、団員諸君の落胆は団長としてよくよく深く、理解しているつもりだわ。
けれど、そう悲観的になっちゃいけないわ。簡単に見つかるものなんて、不思議じゃないのよっ!
目と鼻の先にある、けれど見つからない。それこそが不思議なの。決して楽して手に入れて良いような物じゃないわ。
少なくとも、私はそうやって不思議を見つけるのが楽しいと思うの!」
やっぱり。私は呆れるような気持ちになって皆を見る。
すると、古泉さん、朝比奈先輩、鶴屋先輩。三人とも予想通りといった顔でその言葉を聞いている。
そういえば古泉君は公平そうに見えるけれど結構涼宮さんのシンパというか、イェスマンみたいなところがある。
その古泉君が、私が希望する前に『図書館に行きましょうか』と提案してきたことを鑑みるに、きっとこれはみんなにとっても予定調和だったのだろう。
言わずとも心が通じるという、私にとってこれ以上なくありがたい現象。それが本の中のことだけに思えたあの頃。
今ではその幻想は、活字を飛び出し私を取り巻いている。
----------------------じんわり。
高校最初の一年間で得た寂しさは、この一年でどんどん埋められている。
願わくば、最後まで皆仲良くあれますように。
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