過去ログ - フリッジクロック
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82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/03/08(火) 00:21:57.35 ID:IsVcDC9H0
「確かに私も、面白いものには価値を感じるし、興味もある。」

 狐面の男の背後から声がした。
 大して驚きもせずに振り返ると
 金髪の――人間の形をしたものが立っていた。
 人間の形をしているが、人間ではない。
 それが容易に分かってしまう。
 それを分からせてしまう、圧倒的な存在感。
 暴力的だった。
 同時に壮美的でもあった。
 普通の人間ならば本能的に畏敬の念を抱く。
 天使を思い描く。
 
 対して、容器の中の男からは焦りを感じた。
 表情は変わらないが
 彼が浮かぶ液体の気泡が大きくなった。
 その液体は体内に浸透し
 細胞の一つ一つに干渉していく。
 そうして生命エネルギーを生んでいる。
 その液体に乱れがあるということは――容器の中の男に乱れがあるということ。
 乱れは焦り。
 乱れは怒り。
 乱れは落胆。
 
 男性にも女性にも見える
 大人にも子供にも見える
 聖人にも罪人にも見える
 容器の中の男は、しかし間違いなく人間に違いないのである。 



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