12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/06(日) 00:40:57.02 ID:r9n19+zk0
頬を赤らめて恥ずかしがりながら、それでも真っ直ぐに上条を見つめてお願いする美琴。
彼女の変わりようについていけなくなり上条は混乱してしまう。
思考は絡まり空回りして何と言えばいいか解らない。
その様子に美琴はため息をつき、両手の荷物を置いて距離を詰めた。
「ねぇ。とうま」
右手が腰にまわされて、左手を頬に優しく添えられて、撫でられた。
「み…さ……か?」
近すぎる距離のせいで彼女から感じる柔らかさにボーっとする。
「みこと……でしょ?」
濡れた瞳、頬にかかる甘い吐息、鼻をくすぐる髪の香りに侵され正常な判断が出来ない。
「み…こと」
「もう一回」
「みこと」
「うん、それでよろしい」
そう言って美琴は離れた。
触れられていた頬に残った温かさが冷めていくと同時に思考も元に戻る。
「ぼーっとしてないで。当麻、部屋まで案内してよ」
既に荷物を両手に持ってニヤニヤしながら促してきた。
からかわれたことに気付いて顔が赤くなり、少しばかり腹が立つ。
しかしその話を蒸し返すのも情けないし、かといってやられっぱなしは気に食わない。
だから―――――
「重いだろ?片方貸せよ」
美琴の左手のビニール袋を強引に奪い、空いたその手に自らの右手を繋ぐ。
「ちょっと!?」
この反撃は予想していなかったのか、本日初めての美琴の戸惑いを聞いた。
「美琴は俺の住んでる場所知らねーだろ?案内してやるから」
彼女がどんな顔をしているかは上条にもわからない。
なぜなら顔を背けそっぽを向いているからだ。
でも、わかることもある。
右手から伝わる美琴の左手、それは小さくて、柔らかくて、冷たいのにあたたかい。
照れくさくて見れるわけがない。なんでこんな幼稚な反撃を選んでしまったのか言えるわけがない。
ぬくもりが―――――
―――――欲しかったなんて―――――
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