過去ログ - 美琴「おかえりなさい、とうま」
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138:1だよ[sage saga]
2011/03/15(火) 00:10:22.90 ID:FZQCDlOv0



―――――静寂



この無音を少年は苦痛に感じない。
仮に感じるのであれば土御門の問いに返した事実に関して、後ろめたい気持ちがあるに他ならない。
感じるとすれば空虚。ただそれだけ。

「今日は、もう、帰る、にゃー」

震える声で土御門は帰る旨を伝えた。
これ以上は無意味だと悟ったのか、その無音に耐えられなかったのか、はたまた――――
振り向かず、彼を見送らず、虚空を見上げ少年は告げる。

「土御門」

「……なんだ?」

「ステイルと神裂に伝えてくれ」

「何を?」

土御門は内容を促したが、少年が何を言付けるかを知っている。
なぜならこれは何度となく繰り返したやり取り。
彼が帰る際に行う儀式のようなもの。

「インデックスが死んだのは俺のせいなんだ」

「あいつらは優しいから、そうじゃないって言ってくれたけど……」

「俺だけが責任を背負うなって……怒ってくれたけど……でも………」

「それでも俺がインデックスを守れなかったことは」

「変わらない、変えられない事実なんだよ」

例えるならこれは懺悔。
隣人からその罪を赦されているはずなのに、少年はこの儀式を続ける。

「わかった。伝えておく。……だがな、かみやん」

「それでも、俺は言う。禁書目録が死んだのはお前のせいじゃない」

土御門も幾度となく赦しを与える。
それは彼が必要悪の教会に所属しているからではない。
上条当麻を友人であると、
ただの監視対象ではなく共に戦場を駆けた戦友であると、思っているからこそ。



―――故に、友の赦しは届かない―――



「じゃあ、お暇させてもらうにゃー」

「…土御門」

「…」

「ありがとう」

「また来るぜい」

掠れた声で少年は感謝の意を伝える。
そして土御門は去っていった。


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