194:1だよ[sage saga]
2011/04/04(月) 23:51:59.56 ID:KM7FAnvG0
絹旗に追い立てられ、二人分のグラスとついでに滝壺と自分の分も掴み、サーバーのほうに向かい、歩く。
そしてグラスに中身を注いでいる間、妙な感慨に囚われた。
こんな理不尽な扱いをされながらも、コレが懐かしいと思ってしまう。
「生き残ったんだよな……俺たち」
言葉にしてもいまいち実感がわかない。
あの第三次世界大戦から生還して、今は学園都市に戻ってくることが出来た。
滝壺を守ろうとして、敵対していた麦野を説き伏せて、別れていた絹旗と合流し、また《アイテム》にいる。
奇跡だと思う。
どこかでなにかが違えば、滝壺、麦野、そして自分の誰かが失われていた。
しかし、どういうわけかみんな無事でいる。
“彼女”は失われてしまったが、それを除けば限りなくHappyEndに近い。
もっとも、これは終わりではなく、始まり。
これからどうするのか、どうなるのかはわからない。
それは他ならない自分たちの行動で決まること。
「守ってみせるさ」
決意を改めて言葉に成す。
初めて心の底から守りたいと思った人がいる。
初めて自分が居たいと思える居場所が出来た。
これは別にスキルアウト時代を低く見積もっているわけではない。
あの時も十分楽しかったし、居場所と言えば、そう、言えた。
しかし結局のところ、無能力者というレッテルにいじけて流されただけ。
今いるアイテムは最初は流された節もあるけれど、抜けようと思えば“あの時”抜けれたのに、
それをしなかったのは単衣に滝壺と“彼”のおかげだと思える。
仮に“あの時”滝壺を見捨てていたらどうなっていたか?
仮に“あの時”以前に“彼”に出会っていなかったらどうなっていたか?
あまり想像したくないが、きっと良い未来とは言えないに違いない。
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