22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/07(月) 00:08:22.43 ID:ZudnnFql0
【御坂美琴】
「へー、ここに住んでるんだ? なんか想像と違うわね」
「どんな想像をしてんだよ」
彼が住む学生寮に辿り着き、辺りを見回す。
やはり私が生活する寮とは雲泥の差だ。もちろん言葉に出さないが。
「何階にあんの? 当麻の部屋は」
「無視かよ。七階だ」
どこかふてくされた様子で上条はエレベーターへと促した。ちなみに未だ手をつないだまま。
彼は私からの突然の申し出に戸惑っていたが、それはこちらも同じだと言いたい。
食材の詰まったビニール袋をひったくったのは、まあ理解できる。
要するに女の子に荷物を持たせてわけにはいかないからだろう。
だがしかし、わざわざ手を繋ぐ必要があるだろうか? 無い……はずだ。
別に嫌なわけじゃない。むしろ内心小躍りしたくなるほどに嬉しい。
この状況は今まで想像していた一〇八の計画のうち三つを満たしている。
@名前で呼び合う
A手を繋ぐ
B夕飯を作ってあげる
一気に三つも実現できて嬉しい、非常に喜ばしい。だからこそ違和感が拭えないのも事実で……
“あの”上条当麻が理由もなく手を繋いできたのだ。おかしくないわけがない。
けれど、そのことを指摘すれば、もしかしたら手を離されてしまうかもしれないので聞くこともできない。
取りあえずこれからの計画を頭の中で予行演習しようとして―――――重要なことに気が付いた。
「(私って結構大胆なことしてる!?)」
初春にアドバイスしてもらって勇んでここまで来たが、冷静に考えてみると今からしようとすることは犯罪レベルではなかろうか。
コートに手を突っ込んで、用意した“ブツ”を触って確認する。
二つの円環状の金属とそれを繋ぐ鎖が音を立て、また、プラスチック製のケースが指先に触れた。
「(でも……こうしないと………当麻は…)」
本来ならこういう事はしてはいけないことであるのはわかっている、つもり。
女が男を犯すというのはあまりない例だ。
年頃の男性にとってはもしかしたら据え膳として好意的に受け止めてくれるかもしれない。
しかし逆の立場であったなら?
仮に私に好意を寄せる男性がいて、私にはその気は無くて、そんな状況で強姦されようものなら――――――
「(許さない。絶対に)」
当たり前だ。相手の気持ちを踏みにじり、無理やりにでもモノにしようとする人を彼はきっと愛してはくれないだろう。
仮に彼がそんな人柄だったならば私はここまで惚れることはなかったに違いない。
「(うん。やっぱりやめよう)」
だがこのチャンスを不意にするつもりはない。
初春はやや強引過ぎる方法を示したが、その過程で良い事も言った。
すなわち―――――素直になる事。
恥ずかしいとかそんなモノは捨ててしまおう。
大切なのは自分の気持ち。どうしたいのか。どうすればいいのか。
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