過去ログ - 美琴「おかえりなさい、とうま」
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246:1だよ[sage saga]
2011/04/22(金) 19:55:57.53 ID:G+2AagiF0
 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「当麻、ありがとう。もう大丈夫だよ」

密着体勢であるので平常通りの音量を出すわけにもいかず、当麻の耳元で囁くように。
加えて、彼の気遣いを無駄にしないよう、こちらが落ち着いている旨を悟らせるためにも優しく伝える。
すると私の声と共に生じた吐息が彼をくすぐったのか、体を震わせて ひゃぁうっ!! という奇声が聞こえた。
その男性らしからぬ意外な反応に対して、逆にこっちも戸惑ってしまう。

「どしたの?」

「……………こそばゆかっただけだ。それより……もう大丈夫なのか?」

「うん」

「そっか。なら上条さんも安心です」

照れくさそうに頬を掻きながら抱擁を解く当麻。
離れていく当麻成分に少なからず後ろ髪がひかれそうになるが、その感情を表に出すわけにはいかない。
そしてある程度冷静になったところで、はてさて。


「「…………」」


場を支配する沈黙。
お互いにどんな意図があったにせよ、人目が薄い路地裏で抱き合ってしまったのは事実で。
今更ながら気恥ずかしさやら何やらが込み上げてくる。
当麻はわずか数瞬で顔面に汗を垂れ流し、真っ赤に染めて今にも土下座しようとしていた。

「すっすすすんませんでし―――

「ストップストップストォーーップッ!!
 取りあえず落ち着きましょ落ち着きなさい落ち着いたわよね?」

矢継ぎ早に声を出して彼の行動に制止を掛ける。
周りに人がいないとはいえ、こんなところで騒げばどうなるかわからない。

「………………はい」

「ここであったことはもう気にしないほうがいいわ。お互いのためにも、ね」

「そうだな」

すると当麻は傍らに置いてある私の鞄を拾い、
その底部に付着した砂利やら埃やらを手で払って、鞄をこちらに差し出して、言った。

「じゃあ、この辺でお開きでいいか?」

「は?」

「美琴の用件はもう済んだんだろ?
 今日は課題に手を付けないで休めって言われたからなー」

確かに私の提案は彼の課題を手伝い、代わりにこちらの練習に付き合ってもらう、そんな感じ。
もしかしたらこのウニ頭の中にはソレしか入ってないのかもしれない。
それ以上の事柄………せめて私のこれからの予定を聞いて、それに付き合うとか……そんな言葉は無いっぽい。
もっと当麻との時間を共有したいという乙女の気持ちを切り伏せるような一撃に呆然としていると、
彼は差し出した鞄をいつの間にか私に預け、左手で自身の鞄を肩に担いで背を向けながら表通りへ去ろうとしていた。

「いやいやいやアンタなに勝手に帰ろうとしてんのよ!?」

「だからお前の用事は済ん………美琴サン? どうしてバチバチしてるんでせうか!??」

当麻は振り返って、気だるそうに先の言を繰り返そうとして、私の不機嫌具合に気付いたらしい。
右手を―――幻想殺しをこちらに突き出して防御姿勢を取りながらビックリしている。


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