過去ログ - 美琴「おかえりなさい、とうま」
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288:1だよ[sage saga]
2011/05/31(火) 17:45:51.06 ID:AsBa+XRL0

それはいったいどちらが放った声だったのだろうか?
なんて問いに意味はない。驚いたのは私のほう。

実は私のほうは手を離すつもりだった。

自棄になってあの状況になってしまったのだから、とりあえず、こんな周りに目がある場所では無く一息つける場所に着いて、
そして適当にごまかすように笑い飛ばしてしまえば“こう”なる前に仕切りなおせると思ったからだ。

なのに、その予定は覆されることになる。

私の左の掌から感じるのは、彼の右の掌の感触。
びっくりして思わず振り返ると、何故か当麻のほうも驚きの表情を浮かべていた。
まるでこちらの反応が予想外と言わんばかりに。

こっちだってアンタの反応が予想外なんだけど……

互いに固まって立ちつくす、私と彼。


「「……………………………………………」」


どれくらい硬直していたのか、突然慌てるように当麻のほうから手を振り解かれてしまった。
喪失する肌の感触に落胆の声を上げそうになってしまい、けれどソレを必死に喉の奥に押しとどめる。

「あっ…いや……これはなんと言いますでしょうか……つまり……」

目を泳がせて心なしか頬が紅い当麻に対して、私は非難するわけでもなく、ただ、 どうして? という意味を込めて目を向ける。

「……ご」

「ご?」

「ごめんなさいぃぃいいいいーーーーーっ!!」

そう叫びながら当麻は、私を追い抜いて奥のほうへ向かって爆走して行ってしまった。
突然の逃走に置いてけぼりにされてしまい呆けてしまい、目だけが彼を追う。
数か月前まで繰り返していた逃走劇の時と同様の全速力で駆ける当麻。
けれど今回とソレは何処か違う気がする。
何処が? と問われても、具体的に表現しにくい。
しかし敢えて言うならば、今までと違いなぜか、 勝った! という気がする、というところか。


………あ、こけた。


何処にも躓くような障害物は無いはずなのに、見事に足を捕られ、ずべしゃっという効果音が離れている此処にも聞こえてきそう。
当麻はその勢いのままヘッドスライディングの如く床を滑っていき、そして動かなくなってしまった。


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