過去ログ - 美琴「おかえりなさい、とうま」
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49:1だよ[sage saga]
2011/03/09(水) 00:16:05.49 ID:7f1o9zsU0

【少年】


柔らかい感触を背に感じて、その違和感を覚える。
目蓋を開き、視界に映る薄暗い天井。

「………あ…………れ……?」

少年は身を起こし、辺りを見回した。

「俺は…………………寝てた……のか?」

はて? なんでこんなことになってるのか? 全く記憶にございませんわ。
寝ぼけた頭でそんな馬鹿らしいことを考える。アホらしい。
もぞもぞとベッドから這い出して気がついた。


     ベッド?


「なんで俺は“ここ”で寝てんだ?」

頭を振り、意識を無理矢理覚醒させる。
自らが置かれている状況を整理する。そしてその違和感も。

ベッドに居たこと。

あり得ない。
そもそも眠っていたこと自体が違和感の始まりなのに。

「俺は寝てたのか?」

そうだとすれば、ずいぶん久しぶりだったと思う。
ここ二週間眠りに就いたことなんて無かったのだから。

「んぁ〜」

取りあえずなんでこうなったのか、記憶の前後から把握しようとして―――――



ぐー きゅるるー



そんなベタな音が少年の腹から鳴りだした。
たとえ漫画であろうとそんな音は使わないだろうに。

「(今何時だっけ?)」

テーブルの上に置いてあるだろうデジタル時計を手探りで探し、手に取る。
ボタンを押して発光させる―――21:37 FRY

「どーりで腹も減るわけだ」

電気を付けて、部屋が明るくなった。
暗闇に目が慣れていたせいで、あまりの眩しさに目をつぶる。
目蓋越しに光を受けて、慣れさせ、ゆっくり、開く。

「――――――――――え?」

視界に入った光景が変で彼は戸惑いの声を上げてしまった。
厳密な意味で言えば、光景が変では無く、テーブルの上に置いてあるモノが。

テーブルの上に置いてある―――――――料理が。

はてさて?
首をかしげ、本日二度目の疑問を浮かべた。
これはもしや日頃の頑張りをどこかで見ていた妖精さんが作ってくれたのだろうか?
不幸体質にもめげず、諦めず、必死に生きていたワタクシを憂いで部屋の妖精さんが作ってくれたのか?

当たり前だがそんなわけない。そんな縁なんて彼には無いのだから。

この部屋で料理が出来るのは彼だけであり、もちろん作った覚えは無い。
それにご飯は出来たてが美味しいのだ。わざわざ冷まして後で食べようとする理由も無い。
そんな食べ物を冒涜するような真似はぶるじょわじいが許してもこの万年金欠貧乏無敵学生が許さない。
だいたいにしてこんな目立つ場所に食べ物を置こうものなら―――――



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