56:1だよ[sage saga]
2011/03/09(水) 00:39:35.23 ID:7f1o9zsU0
どんな返事をして通話を終えたかは覚えていない。
気が付いたら携帯電話を操作してアラームをセットしていた。
浴槽内の布団にくるまり体を休める。眠気があろうと無かろうと今の彼にとって関係ない。
そして自問する。
いつからこうなったのか?
最初は現実が辛すぎて眠ろうとすることが多かった。
次に眠ることが怖くなった。
そして最終的には眠ることが出来なくなってしまった。
とはいえ、彼は高校生であり生活もある。
日中は学校に行かないといけないので、疲れた状態では今日のように倒れて周りに迷惑をかけてしまうかもしれない。
そういった事情で、この場所では起きていても体は動かさない。
「ははは」
“わらって”しまう。
浴槽なんかよりも部屋のベッドのほうが休まるに決まっている。
しかし、ここで夜を明かせば翌日にはあそこに彼女がいてくれるような気がして、出来ない。
そしてそんな日が来るわけないのに、幻想に縋りついている自分が情けな――――――
「違う」
その思考を否定するように言葉に出して、言う。
「幻想なんかじゃ……ない」
嘘をついている。
口に出した言葉が嘘だってわかっている。
彼女がこの部屋に来ることなんて二度とない。
そんな風にしてしまったのは他でもない少年自身なのだから。
「“ねる”か」
自らに言い聞かせるようにして呟いた。
瞳からは生気の色が失せ、目蓋を閉じ、意識を殺す。
人によってはそれを眠ると表現するかもしれない。
しかし間違いなく彼は起きていた。
ただ考えることを止め、放棄したに過ぎない。
これが彼にとって“ねる”ということ。
ある意味で少年は眠っており、起きており、そして―――――
――――――――死んでいた。
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