過去ログ - 死んじゃわない彼女と夢見がちな僕等
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/06(日) 13:31:24.20 ID:M4hWSeDR0
「やっぱり……誰かいるのか」
何をどうしたのかは知らないが、屋上への扉の鍵と鎖についた南京錠は丁寧に外されていた。
ただ単に閉め忘れなのかも知れないが…。
その扉のドアノブに手をかけ、ゆっくりと引いた。
すると、ぶわっ……! と、扉の隙間から風が吹き込んできた。
風が冷たいな……ずっと春とか秋だったらいいのに。
冬は嫌いだ、寒いからな。夏も、暑いから嫌いだ。
そんなもやしっこな僕には、この寒さは耐え切れない。
さっさと自殺願望者の首根っこを捕まえて、はやく戻りたいところだ。
僕は奴から譲り受けた、カイロをポケットの中でにぎにぎしつつ、あたりを見回す。
……そいつは割とあっさり見つかった。まぁ遮蔽物なんてほとんどないからな。
「…何やってんだ。あんたは」
つい、呆れた口調になってしまう。
それも仕方ないことだろう。
そいつは細い腕で、自分の体を抱きしめ。体育座りでフェンスにもたれ掛かっていた。
小さい顔をあげて僕を見つけると彼女は開口一番こう言った。
「…や、やぁ。今日は、と、とっても冷えるね…」
「まったく、人騒がせな奴だな」
腕を組んでふぅ……と大きく息を吐く。吐き出された息は、白くたなびくように僕の後ろへ消えていった。
そう言うと、そいつは口を引きつらせて微笑む。寒いんだろうと思うけど僕は何か違和感を感じていた。
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