過去ログ - 死んじゃわない彼女と夢見がちな僕等
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/03/06(日) 13:37:43.09 ID:M4hWSeDR0

それだけ話すと、場に軽い沈黙がおりる。
ま、初対面な訳だし。僕は初対面の人とフレンドリィに会話するほどのコミュニケィション能力を持ち合わせてはいない。
いやほんと、まったく残念なことにな……。

「……ほら」

まともに喋れない癖に沈黙も苦手な僕は、まだ寒そうに手をこすり合わせている彼女に、カイロを差し出す。

「ん?」

いきなりの僕の行動に戸惑い、彼女は首を少し傾げる。
これを、どうしろ? と
その目が語っているような気がしたので、僕は言葉を継ぎ足す。

「寒そうだからな。ないより、マシだろ?」

さっきは風が強く、伏し目がちだったせいか、彼女の目はあまり印象になかったが
彼女の瞳は大きくて綺麗で、真っ直ぐに見つめられると少し照れる。

「ああ、ありがとう」

僕の意図がちゃんと伝わったのか、にこりと笑うと僕の差し出したカイロに両手を伸ばす。
ぴとっ!と彼女の冷たくて小さな手がカイロと僕の手に触れる。

「!!」

予想外の行動に、今度は僕が戸惑う。

「あぁ、温かい…」

ふにゃ、と無邪気な笑みを浮かべて、僕の手を摩ってくる。
彼女の手はすべすべして、柔らかくて、かなり恥ずかしい。



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