過去ログ - 上条「なんだこのカード」 3rd season
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119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/04/07(木) 05:50:09.87 ID:FFxqgSnVP
「無茶をしすぎだ、馬鹿者」

霧の中に身を隠した彼の肩には、傷ついた友人の腕がある

その胸からも血を流し、それ以外にも表面的な傷は数多ある。だが彼は、騎士団長の肩から、預けていた体を戻した

団長「今の貴様の命は、貴様一人の命ではないのだからな」

アックア「……分かっているのである」

少し遅れた声は、少し弱さを感じさせた。無理も無い。生きているだけでも不思議な怪我を彼は負っているのだ

心臓の欠損という、普通の人間では人工心臓でも用いない限り、絶対に生き伸びることは有り得ないレベルの傷。水の扱いに長けた彼だからこそ、心臓無しで血液の流れを保っているのだ

心臓の拍動というものは、止まってはならないものである。つまり、その拍動に代わって血液循環を保つためには、再生でもしない限り半永久的に魔力を消費し、維持し続けなければならない

その血液循環を代替している術式にヴィリアンという名の女性の命と、自らの命がかかっているのだ

誰よりも彼自身がそれを自覚している。しかし、彼は単身、テッラの前に、しかも自らの意思で、身を現した

アックア(テッラを見くびっていたか、と言われれば、それは否定できないのである)

ローマ正教所属であり神の右席であるので、彼の独断で動くことはイギリスの勢力にとやかく言われる理由は無い

それでもヴィリアンの命を背負っている以上、彼はその独断に責任を感じていた。だから、目の前の友人の手助けなど無く、テッラを叩くつもりだった。叩けるつもりだった

だが、目の前に有る現実は厳しい

さて、どうしたものか、と考える騎士団長の横で、アックアが何かに気付き、言葉をこぼした

アックア「……不味いのである」

団長「更に不味いことなど聞きたく無いが、何だ?」

アックア「先程の十字路に強い力が凝縮されている。狙いは分からないが、これまでになかった規模なのは間違いない」

団長「力の凝縮だと? 何らかの術式の準備でもしているというのか。私を相手にしておきながら、随分と余裕を見せつけてくる」

アックア「私や貴様を引き寄せる為の罠であるとも考えられるのである」

団長「分かっている。だがいずれにせよ、このロンドンでこれ以上好き放題される訳にはいかん」

アックア「上で見下ろしている今のテッラへ、効果的な攻撃手段は無いのである。"天使の力"を用いる奴へは、空を飛行する者への常識的な攻撃術式であるペトロの"撃墜術式"が、十字教では対悪魔という要素を強く含んでいるために通じないだろうと言う事は簡単に予想がつく」

団長「だからと言って奴が今淡々としたためている術式の発動を受け入れるなど、有り得ん判断だ。"光の処刑"とやらで身を守ると言う事は、非効率であるといっても逆説的に我々の攻撃が通じると言う事を証明している」

アックア「であろうな」

団長「ならば、やりようがあるということだ。ここはイギリス・ロンドンだからな」


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