過去ログ - 上条「なんだこのカード」 3rd season
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570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/06/28(火) 05:53:32.80 ID:d2D2mKfKP
「っったく、暴れすぎだ」

ロンドンの市街、といってもあまりに多く破壊され過ぎていて、とても人が住める場所では無くなってしまっていたが

そんな場所で彼女はようやく目的のモノを見つけた

といってもそれは、全く大したものでは無く、ただの街路樹

等間隔に有るはずだったそれらの中から適するものを見つけるのに、本来ならばそんなに時間はかからない

しかし、暴れすぎ、なのである

それは、テッラが暴れたと言うのもあるし、それまでにロンドンで有った様々な破壊的な行動全てに対するものでもあった

ヴェント(術式に使えそうな木がを見つけるだけで、こんなに手間取るなんて思って無かったわ)

ヴェント(そもそも、林立していない木って言う前提条件が面倒なのに)

ヴェント(だけど逆に、この木ぐらいしかまともに原型を整えていないというなら、それはそれで媒体としての効果は挙がると言う面もある。……見付かっただけマシか)

ほぼ無傷の木の全容を、彼女は術式的な光で照らし出して確認した

彼女のしようとしていることは、楽園喪失の概念を利用した男女間の原初的な繋がりの再現

神によって食べてはならないと定められた、生命の樹と対をなす禁断の知恵の樹の実を、生命の名を冠したイブのそそのかしに乗って食べたアダム

世界的に知られたこの旧約聖書のエピソードの中には、新旧聖書間・各宗教宗派間の解釈に置いて問題があるが、大体の流れは同じ

しかし、問題と言う程目くじらを立てるべきではないにせよ、疑問がある

内容としては、禁断の果実を食べてはならないとされたのはアダムに対してであり、イブはその後誕生している

そして、サタン(ルシフェル)によって騙されたイブがまず禁断の果実を食し、そのイブにそそのかされてアダムが禁断の果実を口にし、その後、アダムもイブも知識と欲を持つことになった、と言うものなのだが

なぜアダムは欲が生じる前の段階であるのにもかかわらずイブの誘いを断てなかったのか、そしてアダムもイブも同じ人間でありながら、なぜイブはアダムが食べるまで知識と欲を得なかったのか

その説明として、イブはアダムを騙す前に既にそれらを持っていてその知識で騙したという説もあるが、一方で、男女が"つがい"で1セットであり、だから片割れのイブだけではそうならず、アダムも食べなくてはならなかったのだ、と言う説

つまりのところ、男女両方がセットでなくてはならず、そこには強い繋がりがある、というものだ

楽園喪失のエピソードは十字教が一番問題視している原罪の成立についてであり、この後者は、原罪が人類全体の問題であるとしている十字教にとっても、男女という"つがい"の強いシナジーが意味する"男女"すなわち"人間"という概念と"人類全体"の抱える原罪が適合するので、都合が良いものだった

彼女、ヴェントは、その男女の"つがい"の概念と、同じく創世記楽園喪失に登場する生命(=イブ)の樹と知恵の樹の対の概念を利用し

樹の形となった男性であるテッラに対して、奇跡的に殆ど傷のない街路樹をイブすなわち女性の象徴と見たてることで、同じ十字教徒間であるという性質をも利用してそこに繋がりを生じさせ

フィアンマの制御を超えて暴走してしまったテッラに干渉しようとしているのだった


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