過去ログ - 上条「なんだこのカード」 3rd season
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686:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2011/07/19(火) 10:18:50.74 ID:qc3MRVCnP
寝息に誘われるように、彼はそのベッドまで一直線に、しかしゆっくりと近づいた

そして、彼女を起こさないように、横たわる体の近くに腰を下ろす

ギシ、という音が鳴って、ベッドはステイルの体重の分だけ沈みこんだ

「……ん」

彼の行動に反応したのか、少女は声を漏らした

一瞬彼は焦らされたが、少女はそのまま寝息を再び整え始めた。一安心である

寝顔、そこには苦痛の色は無い

寝息、そこには悪夢の気は無い

何の事は無い。彼女は無事だ。疑いようもない

寧ろ、こんな表情はそれまで見ることも出来なかった。ずっと、彼女の顔は色を無くしていたか、または苦痛の色だった

多分、フィアンマと言う男が、約束を守ったのだろう

そう思うと、なんだか体の力が抜ける。肉体的な疲労は無い。むしろ快活と言える

しかし、心的な疲労が、禁書目録の脱ロンドンからずっと動きっぱなし戦いっぱなしだった彼の心の緊張の糸が、一本ずつ切れていく

アニェーゼ部隊のシスター達のローブを継ぎ接ぎした、一先ず体を隠せるだけの布切れを身に纏ったまま、彼はフラッとそのダブルベッドに沈み込んだ

自然とまぶたが下がり、力が抜けていく

そして、いつの間にかその部屋には静かな寝息のコーラスが生まれていた

完全に彼の疲れた意識が睡眠の深みに落ちた後、もう一人の体が僅かにゆっくりと動く

少し、掛け布団の上から身を乗り出して、少女はその両手を彼の方へ向け

禁書目録の方を向いて寝ている男の首と腕に手をまわし

そっと

「おかえり、ステイル」

寝言のように彼へ呟いて、彼の胸の中で再び寝息を立てはじめた


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