過去ログ - 上条「なんだこのカード」 3rd season
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga sage]
2011/08/09(火) 02:54:16.37 ID:7arGJqoCP
なんだかんだ言って、結局こんな命でも、失うのが怖いから?
滝壺(そうだよ、怖い。怖いに決まってる。怖くない人なんているはずない)
だったら、あの時の麦野はどうだっただろうか
傷つくのを恐れていたか。死を恐れていたか
恐れがなかった訳がない。でも、きっとそれらに負けない硬い意思が有った
それは、LV5としてのプライドとかの己の自尊心から、そして他人の必死な姿を見て感化されたから
半ば乗っ取った自分には分かる。どれほどの恐怖が彼女に有って、どれほどの覚悟をしていたのか
彼女も必死だったのだ。恐怖を押し殺して
それなのに、今の自分は何なのだろう? そんな彼女を助けるどころかみすみす殺しておいて
必死な意思を持っていた彼女を殺しておいて、今の自分は死の恐怖から走り回るだけか?
さっきの二人だって、今まさに戦おうとしていた。そんな前だから、お互いの心を落ち着かせて、何よりも生き残るための切っ掛けに、下品と言えば下品だけれど、男女の要素を絡めさせていたのかもしれない
皆戦うことに必死なのに、向き合っているのに、後ろ向きな事を考えて、私は
「……ッ、ウ」
地面に伏せたまま奥歯を強く噛む彼女の耳に、押し殺したような声が聞こえた
自らの傷なんて気にしないまま立ち上がって、声の下へ足を進める
走っていた小道の近く、壁に巨大な穴が開いたビルの小部屋の中で、人がうずくまっている
その姿はどことなく浜面に似ていて、スキルアウトの生き残りだと分かる
月明かりに照らされた髪の色が全く違うので、残念ながら浜面ではないようだが
「クソッ! こんなところで、何も手に入れられないまま、帰られるかってんだ」
痛みに耐えながら叫ぶように言って、机の脚にすがりながら立ち上がろうとして、しかし彼は滝壺の視界内で崩れ落ちた
滝壺「……酷い血」
他人とは思えず、彼女は近寄った。寂しかったからかもしれない
「なんだお前は。俺に、触れるな」
横たわった男を、上半身を胸に抱える様にして彼女は持ちあげた
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