29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/07(月) 19:37:06.20 ID:/pwNr4Li0
3/三日前(2008年・2月9日)
――――そして、そこには何も無かった。
私が観測したそれは、全てが欠落してしまったような、「無い」ということすら無い、虚無の海の中。
ああ、とうとう、私は死んでしまったのだ――――初めはそう考えた。
けれど、これが死であるとするなら、私は間違いなく生きている。
なにがなんだかわからない。
いや、どうしようもなく理解はしているけれど、その「理解」は私の外側にある。
それを、夢と呼ぶ事に差し支えはないだろう。
目覚めればいつものように病院のベッドの上で、死に瀕している私という救いようのない現実があるのだ。
まだ幼い子供の頃、私は病に倒れた。
具体的には悪性新生物の類であると聞かされたが、詳しいことは未だに理解していない。
聞いた限りで私に分かったのは、確実に死に繋がるもので、治癒が難しいということくらい。
通院を繰り返したものの一向に回復せず、とうとう長期入院を余儀なくされた。
候補にはいくつか有名な病院があって――オリバー、だか、ガリバー、だか
ともかく、遠い県外のものもあったけれど、住み慣れた地元が一番だろうということで、桜ヶ丘市立病院に搬入された。
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