4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/03/07(月) 19:15:53.62 ID:/pwNr4Li0
そうしてぼんやりとした心持ちのままふらふらと歩いていると、
何度目かの振動が上着のポケットを震わせた。
―――――心配性だなぁ。
確認するまでもなく、それは世話焼きの妹からのものだろう。
黙って出てきたのは少し悪いかな、と思うけれど、そういうお節介を面倒に感じるときもある。
特にこういった月の綺麗な夜には、大嫌いな孤独に身を埋めてしまいたくなるから―――
唯「……………」
建築途中の高層ビルの屋上で、クレーンが満月を吊り上げているのが見える。
空は町明かりに照らされて、勿体振るみたいに星の光をその向こうへと仕舞いこんでいた。
鼻をくすぐる水と土の匂い。
微弱な月明かりだけが光源になり――それさえ消えれば、すべてが闇へ溶けてしまいそうな
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