43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/03/07(月) 19:59:42.32 ID:/pwNr4Li0
――ああ、そういえば、一度だけ、診察で訪れた時に此処でアレが発症したことがある――
溺れそうになるほどの“点”と“線”の濃度に、脳髄を絞るかのような激痛に絶叫しながら気を失ったのは苦い思い出だ。
病院、という土地柄が――そこに集う空気が、人が、それを形作っているのだと思ったけれど。
違った。それは、違ったのだ。
この女の子の――私の死に、近づいたから!
口の端が、釣りあがる。
熱っぽいため息が出る。
海の上をゆらゆら漂う波が光を浴びたかのように波打ち、目に眩しいくらい白いシーツ。
全身が心臓になったみたいだった。耳鳴りをかき消すかのような心臓の鼓動。
うるさい。音が固まって、床に積もっているかのように静かなんだから。
邪魔しないで。私とこの子だけにさせてよ。
――コレが恋と囁かれれば、私は何の迷いもなく納得するだろう。
湧き上がる感情は望郷にも似た――探し求めた片割を見つけたような、慕情。
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