92:別人 ◆Q7pSHpMk.k[saga]
2011/03/27(日) 02:28:27.67 ID:ZzKmd7ml0
落ちていた『マクアフティル』を拾い、両手で握りしめる。
震える体を叱咤して、ショチトルは切っ先をアックアへ向けた。
「させない」
「勝てると思うのであるか?」
ショチトルとて魔術師だ。
自分に勝ち目がないことぐらい嫌というほど認識している。
だが、逃げるわけにはいかないのだ。
「絶対に、させはしない」
「ふむ……」
「こんな私を、すでに死んでいるはずだった私を」
「命がけで何度も守ってくれたエツァリお兄ちゃんに……手を出すことは許さない」
後ろには、今まで自分のために傷ついた大切な人がいるのだから。
「ショチトル! 何をしているんですか!?」
「大丈夫、エツァリお兄ちゃん。今度は私が守る番」
そう話しながら、彼女はわずかに振り返る。
覚悟を決めた人間特有の、儚い笑顔がそこにあった。
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