過去ログ - 【禁書SS】>>1が小説の練習がてら提供されたネタを片っ端か書いてみる
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43: ◆i7m2C81CSc[saga]
2011/03/09(水) 21:54:27.42 ID:IAft+n7o0
「そろそろ時間です。用意を」

神裂が口を開いたところに、『必要悪の教会』に属する魔術師の一人がやってきてしまった。
神裂は何か言いたそうにしていたが、やがて名残惜しげに部屋を出た。

ここはイギリス・ロンドンにある『処刑搭<ロンドン塔>』の一室。
そしてこれからは、『実験室』となる。

「神父。準備はよろしいですか」

魔術師は言う。

「ああ、構わないよ」

ステイルがそう言うと、魔術師の男は頷いて部屋を出た。

『処刑搭』の持つ魔術的意味を利用し、『神の如き者』、つまりは大天使ミカエルの力を少年に宿す。
たった十四の、少年に。
だが、彼の眼には迷いはない。全ては自らが定めた理念のために。

『処刑塔』の最上部が、赤く輝いた。

直後、少年の意識が遠のいた。
膨大な量の『天使の力<テレズマ>』が彼の体内に流れ込む。
――同時に、誰も予想しなかった事態が起きた。


轟!という音ともに『処刑搭』の最上部から「何か」が突き出た。

土御門元春と神裂火織はそれを地上から見ていた。

「な……!?」

神裂が絶句する。
あの場所は、赤髪の少年がいたはずだ。

失敗。

最悪の二文字が彼女の脳内を駆け巡る。
だが、「失敗するとどうなるのか」という肝心な部分を神裂は知らない。
土御門を見れば、彼は目を細めて『処刑搭』を凝視している。

「ねーちん」

突然土御門が口を開いた。

「あそこまで行けるか?ステイルの状態を確認して欲しい。オレが普通に行ったんじゃ遅い」

既に遅いかもしれんが、と忌々しげに呟く。
そんな土御門に返事をする前に、『聖人』神裂火織は跳んだ。


凄惨。
その言葉があまりにもしっくり来た。

神裂火織が見たのは、瓦礫の山。
仮にも『処刑搭』は魔術的に強大な力を持つ要塞である。
対戦車ミサイルをぶち込んだくらいでは傷一つつかないはずだった。そう、神の如き力でもない限り。

「ステイル!どこにいるのですか、ステイル!」

粉塵が立ち込める中に呼びかけるも、反応はない。

「ステイル!!」

もはや涙目になりながら呼び続けるが、無音。
やがて地上の騒音が耳に届き始め、
ドン!と。神裂の懐に衝撃が走った。
そのまま壁に叩きつけられるも、七天七刀を杖代わりになんとか持ち直す。

「誰です!」

少しずつ開けていく視界の中、粉塵の向こうを睨みつける。そして、

「………ステイル……!」

ステイル=マグヌスがそこにいた。全身赤の修道服に身を包んでいる。それは変わらないが、明らかにおかしくなっている点がある。
まず、瞳までもが赤くなっている。そして、
――彼の右肩から突き出た禍々しい光の塊。即ち、『聖なる右』。


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