21:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga]
2011/03/20(日) 00:41:45.48 ID:3bWdwT26o
朝、いつもよりもいくらかはやく、上条は目を覚ました。
暑いくらいの布団の中、自分の両側から、寝息が聞こえてくる。
一つは姫神で、一つはインデックス。二人とも上条に頬を寄せるようにして眠っていた。
そっと首を動かして、二人の寝顔を見る。どちらも可愛かった。
姫神にだけ、キスをする。
「ん……」
僅かに姫神は反応したが起きなかった。
二人を起こしかねないが、上条はベッドから自分の体を引き抜いた。
どうせ10分もすれば目覚ましが鳴って、朝は始まってしまう。
いつもより人が多い分、手間をかけて朝食を用意するつもりだった。
「とうま、とうま……」
「……ぁ。当麻君」
脱出には成功したのだが、着替えを始めたところでインデックスが目を覚ました。
姫神もつられたらしい。
「おはよう、二人とも。朝飯つくっちまうから、まだ寝てていいぞ」
「うん……」
だがインデックスも姫神も、寝起きが悪いほうではなかった。
姫神は目をこすると、インデックスがこちらをじっと見つめているのに気がついた。
「あいさ」
「どうしたの?」
「おはよう」
「うん。おはよう」
姫神の胸元に、インデックスが滑り込んできた。そのまま抱きしめる。
誰にも見えないように表情を隠して、インデックスはそこから上条に声をかける。
「ねーとうま。何作るの?」
「え? まあレタスがあるしサラダをパパッと作って、あとは目玉焼きかな」
「むー! 私と二人のときはそんなの作らなかったくせに」
「し、仕方ないだろ。朝の時間は限られてるんだから」
「トースト一枚じゃ満足できないんだよ」
「じゃもう一枚焼いてもいい」
「そういうことじゃないの! とうまのばか」
手伝うとは、インデックスは言わなかった。
もうしないのだ。ご飯を作ってあげたりは、しない。
それは姫神か上条自身の仕事だから。
自分が上条に食事を作ってあげれば、またおかしなことになってしまうから。
「それはそうと、秋沙」
「どうしたの?」
「おはようのキス、するぞ」
「えっ?」
姫神は硬直した。だって寝起きの顔を見られるのっていろいろ気になるし恥ずかしい。
だが上条は待ってくれなかった。
インデックスが面白くなさそうに横を向いたのを知りつつ、姫神の腰を抱いて、唇を重ね合わせた。
「ん……」
「ん、今日も可愛いな秋沙」
「もう、急すぎるよ」
「制服はあるのか?」
「うん。必要なものはあるから、あとは替えの服とパジャマを部屋に戻しに行くだけ」
部屋に帰るのは別に放課後でも大丈夫だった。
「そっか、じゃあ朝飯食って、さっさと行くか」
「うん」
寂しそうな顔をしたインデックスの髪を、上条がくしゃりと撫でた。
インデックスは何も言わなくて、そして上条もそれ以上は何もしなかった。
それが今日からの、二人の距離だった。
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