過去ログ - 上条「もてた」part2
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4:nubewo ◆sQkYhVdKvM[saga]
2011/03/08(火) 22:53:36.78 ID:ahLj9amNo

自分が涙で濡らした上条のパジャマの冷たさで、ふとインデックスは目を覚ました。
うつらうつらとしたまま、いつしか寝ていたのだろう。目をこすると、涙の乾いた後がかさついていた。
見上げれば、あどけない上条の寝顔。隣の姫神の顔は髪に隠れてはっきりと見えなかった。

のしかかっていた上条の体から、インデックスは体を下ろした。
意識を手放してしまう直前の、あんなに強かった上条を奪ってしまいたいという気持ちが、
戸惑ってしまうくらい下火になってしまっていた。
まるで祭りの後の会場にいるみたいに、もう終わってしまったのだという空虚さだけが残っていた。
もう諦めろと、姫神にきつく言われたらまた燃え上がれるのかもしれない。
違うのだ。終わってしまったあとの空気は、じわじわと、自分に終わりを悟らせるのだ。思い知らせたりはしない。

三人でかぶった布団の中はどちらかというと暑かった。
上条の腕枕に頭を乗せると、すこし汗ばんだ上条の匂いがした。
夏休み明けの体操着なんかについては、臭いと文句を言ったこともあった。
少なくともこの匂いを好きだとなんて思ったことは一度もない。
なのに、今はこの匂いのする人の腕に抱かれて眠るのが、幸せだった。
どうして、意味合いが変わってしまったんだろう。

上条が寝返りをうとうとして、失敗した。
そりゃあどちらの腕にも女の子が寝ているのだから、当然なのだ。
それで、少しだけ上条がインデックスのほうを向いた。
鼻息がインデックスの手を軽く撫でた。

「とうま。キス、していい?」

声にはしなかった。姫神に気づかれては、いけないから。
上条は寝ているから、もちろん返事はない。
それでいい。起きていれば断られるのは、分かっている。
真っ暗闇の部屋の片隅、ベッドの中で音を立てないように、そっとインデックスは唇を上条に寄せる。
当の上条にさえ知られなくても、もう叶うことのなくなった恋心でも、伝えずには、いられなかった。



音はしなかった。
舌でも絡めないと、音は鳴らないものだ。



どさりと、大きめの音を立てて再び上条の隣に倒れこんだ。
涙が溢れて、止まらない。
吐息が震えて、嗚咽が漏れそうになる。
泣き疲れて再び眠るまで、ずっとインデックスはそうしていた。
姫神は最後まで、何も言わなかった。



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