過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2011/03/09(水) 03:56:59.35 ID:SvKeaTpjo
「今は、ごめん。ちょっと無理かな」

「お姉様……」

その言葉に、10777号は美琴の腕を引っ張るのをやめる。
思い出したのは、拾い上げたストラップを抱きしめ、涙を流す昨日の姉の姿。
昨日の今日で、美琴の心の整理がついているはずがないのだ。
軽率だったな、と妹は反省した。
だが、それとは裏腹に美琴の目には強い意志が籠っていた。

「私にはね、やらなきゃいけないことがあるの。
 あいつは私たちを何度も助けてくれたけど、その恩はたぶんもう返すことはできないんでしょうね。
 ……だから、私はせめてあいつが最後に望んだだろうことをしてあげたいと思うの」

美琴はそこで一度言葉を切った。10777号は黙ったまま、美琴の言葉の続きを待った。

「私は、あいつを学園都市に連れて帰ってやりたい。
 あいつを待ってる人たちのところへ、あいつが大好きな人たちのところへ。
 ……私ができるせめてもの恩返しとしては、一番だと思わない?」

そう言って、美琴は薄く微笑む。
その表情に、10777号は強い人だな、と思う。
例え一度現実に打ちのめされたとしても再び立ち上がり、すぐに正面から向き合える人間はそういない。
それが御坂美琴を御坂美琴たらしめているファクターの一つなのだろう。
だが、この場合、彼女は一つ間違えていることがある。

「ミサカたちは、それがあの方の"最後"に望んだことだとは思いません」

「え?」

「あの方は絶対に生きているとミサカたちは信じています。
 どうせどこかに漂着して見知らぬ女性と仲良くしてるに決まっています、とミサカはミサカネットワーク上の共通見解を述べます」

「………………………………………………………………ぷっ」

10777号のどこかぶっきらぼうに放った言葉に、美琴は思わず吹き出してしまう。
そうだ、死んでしまったと決めつけるよりかは、生きていると信じていたほうが心が楽になる。

「あははっ、そうよね、どうせあいつのことだからまた知らない子といちゃいちゃしてんのよ。
 見つけたら電撃飛ばして追いかけまわしてやんなきゃね!」


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