過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage saga]
2011/04/10(日) 03:15:06.68 ID:hMoZjPKRo
「それは……記憶喪失ってことか?」
「うん。大怪我のせいだって」
「そうか……」
記憶喪失。
単なる想い出の喪失だけではなく、自己の存在理由すらも見失うことの、なんと辛いことか。
「私……私があの時、あいつを助けられていたら……!」
「美琴、自分を責めちゃいけないよ」
しゃくりあげる娘を、旅掛は優しく抱きしめる。
「人生は長い。その中には、いくつもいくつも『もしも』がある。
父さんにだって、『あの時こうだったら』『この時こうしていたら』という出来事はいくらでもある。
だけど、それは全て手遅れだ。過去に『もしも』は通用しない。終わったことは変えられない。
それはただの願望、いや空想でしかない」
腕の中で美琴が震える。だが、旅掛は言葉を続ける。
「だからこそ、人は強くなろうとする。
再び岐路に立たされた時、道を間違えないように。けっして後悔しないように。
……さて、今父さんの腕の中にいる女の子はなんて名前でしょう?」
「…………御坂美琴」
「そう、才色兼備かつ文武両道、常盤台の『超電磁砲』にして俺の自慢の娘、だ。
父さんはあまりお前のそばにいられたわけじゃないけど、それでも美琴が『どこまでも強くなれる』子だってことは知ってる。
だから、あえて厳しいことを言うよ。……美琴、その後悔を飲み干せ」
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