過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage saga]
2011/04/13(水) 02:14:25.64 ID:9KzOTW+Oo

その時、病室のドアが開いた。
赤髪に黒い僧衣を纏った大男と、白い修道服に身を包んだ銀髪の少女だ。
二人とも大きな荷物を抱えている。
ふとステイルと目が合うが、向こうからふいと視線をそらされてしまう。

「……インデックス、荷物を預かるよ」

荷物を受け取り、ステイルは再び廊下へと出て行った。
インデックスは上条のベッドへと近寄る。
しばらく、なにを話していいか分からず、二人は見つめ合っていた。

「……とうま」

話を切り出したのはインデックス。

「……最初はとうまの家のベランダから始まったんだよ。
 ご飯を食べさせてくれて、魔術師から助けてくれて、私の『首輪』も壊してくれて。
 それから、いろんなことがあって。
 こもえとか、あいさとか、みことやクールビューティとか、ひょうかとか、おるそらとか、天草式のみんなとか、いろんな人にも会ったよね。
 それぞれ一人一人と大変な記憶や大切な思い出があるんだよ」

「……ん」

大まかなことは、既に聞いた。
実感は持てないけれど、それでも確かにあったことだというのも。
少女は語る。

「私は、とうまと過ごした三か月を絶対に忘れない。
 あなたが全てを忘れても、私は何一つ永遠に忘れない。
 それが、『完全記憶能力』を持つ私に与えられた役目だと思うから」

それは、昔誰かがどこかで誓った事にも似ていて。

「とうま」

フードがずれることも気にせず、少女はぺこりと頭を下げる。

「ありがとう」

助けてくれたことに。救ってくれたことに。楽しい日々をくれたことに。
謝罪の言葉でもなく、自責の言葉でもなく、ただただ感謝の言葉を。
目の前の少年が一番喜ぶのはそれだと、良く分かっているから。



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