過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
1- 20
353:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[sage saga]
2011/04/17(日) 02:48:32.96 ID:6dTTluKVo

結局、上条夫妻は一度も神裂のことを責めなかった。
彼女だけではなく、魔術サイドの誰に対しても、恨み事は吐かなかった。
中には理不尽とも言える仕打ち(神裂個人としては、償いきれるものではないと思っている)もあったにも拘らず、だ。

だが、それこそが上条当麻の両親たる所以なのかもしれない。
争いが終わればノーサイド、殺し合った相手でさえ、危機に陥れば助けに行く。
それが上条当麻という男なのだから。

病院を立ち去った神裂は、一度だけ振り返り、上条当麻がいるであろう病室を仰ぎ見る。
聖人の視力は、ちょうど病室から外を眺めていた上条の顔をとらえた。
恐らく、向こうからはこちらの姿は視認できないであろう。

(……見ていてください)

これから彼と会う機会は、そう何度も訪れないかもしれない。
だけどもそんなことはそもそも問題にすらならない。
大事なのは、彼から学んだことをどう活かしていくかということ。

(私は、もっともっと強くなります)

体も、心も、研ぎ澄まされた日本刀のように鍛え上げる。
それでこそ、彼に報いることができるだろう。

共に闘った記憶。
己に対する宣言。
そして心の奥に潜む想い。
これら全てを抱きしめ、彼女は前を向いた。
その後はもう、振り返らない。

この日。
極東の聖人神裂火織は、その人生において新たなる大きな一歩を踏み出した。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/817.81 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice