過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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659:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2011/05/15(日) 04:00:01.30 ID:W8rEPNSco

「……なーんでテメェにムカついてたか、やっと分かった気がする」

順位や研究価値が劣っていたことなど、初めから問題じゃなかったのだ。
麦野が真に妬んでいたのは、その心の高潔さ。
"闇"に引かれず真正面から光を浴び続けた者だけが持てるその輝きに、憎悪にも近い嫉妬を感じていたのかもしれない。

同じレベル5でありながら、どうしてここまで境遇が違ったのか。どうしてここまで堕ちてしまったのか。
彼女と自分は、何が違う。
心の奥に押し込め、考えないようにしていた感情が、無意識のうちにただひたすらに麦野をいら立たせていた。


「テメェはずっとそのままでいろよ、『超電磁砲』」

麦野がぽつりと呟く。

「暗部には『闇』から抜け出せずに苦しんでる奴らが腐るほどいやがる。
 そういう奴らにとっては、テメェみたいなのは嫉妬の対象であるのと同時に、一種の『希望』みたいなもんなんだ」

「希望? 私が?」

「そう。今の状況が必然によるものではなく、自分の選択が間違っていただけだと思わせてくれる存在。
 もしかしたらあり得たかも知れない幸福な未来。
 そんな甘っちょろいことを夢想させてくれるのが、てめぇみたいなお子ちゃまなのさ」

暗部に囚われた能力者の学生たちは腐るほどいる。
レベル5においても、美琴以外の上位レベル5は暗部とのかかわりが強い。
そんな彼らにとって、闇に関わることなく光を浴び続ける美琴は眩しい存在だ。


     『……どうして、ここまでひどい怪物になっちゃったのかな』


両親が揃い、普通に学校に通い、普通に友人と過ごし、普通に遊び、普通に学び、普通に恋をして、普通に暮らす。
想像してどうなるものでもないが、それでもありえたかもしれない幸せな"IF"を思わせてくれる。
それだけで、救われる人間がどれほどいることか。



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