過去ログ - 美琴「極光の海に消えたあいつを追って」
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864:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)[saga]
2011/06/12(日) 01:21:37.19 ID:Sj9M+n8No

「……はぁ、ついてませんわ……」

白井黒子は、自らの右手首に巻かれていく白い包帯を見つめながらため息をついた。
美琴の学校代表としての演奏を生で見ることができないばかりか、怪我までしてしまうなんて。

一端覧祭は学園都市中の学生が一斉に動く都合上、都市のあちこちで大混雑が起きる。
雑踏の中で騒動が起これば大きな事件・事故につながりかねないため風紀委員が常に目を光らせてはいるが、それでも避けられないものはある。

混んだ階段で、一人の大柄な男性が躓いた。
彼は近くにいた女性を巻きこんでしまい、更にその下にいた白井までも巻き添えにしてしまった。
白井は二人とともにテレポートをして体勢を整えようとしたものの転送重量限界を越えてしまっており、やむなく二人だけをテレポート。
彼女だけはそのまま階段から転げ落ちてしまったのだ。
落下した際に手を地面に勢いよくついてしまい、こうして治療を受けているというわけである。

「あまり高いところではなかったのが幸いしたね? この程度なら、一週間くらいあれば完治かな。
 だけれど、その間派手に動き回ってはいけないよ。風紀委員はしばらくお休みだね」

顔なじみになりつつあるカエル顔の医者に、白井は渋い顔をする。

「今は一端覧祭という一番警戒しなければならない時期ですのに……」

「それでも、医者としては許可できないね? 骨や筋に関する怪我は、下手をすると一生ものになりかねないからね」

「ですが……」

「風紀委員は何も君だけの力で動いているわけじゃないだろう? 時には、頼れる同僚に頼ることも大事だ。
 それに無理して悪化させればそれだけ休まなければならない期間も長くなる。
 ゆっくり休んで怪我を早く治すのも、治安に関わる者の仕事の一つだよ」

そう言われてしまえば返す言葉はない。
白井は礼を言い、コートを着て診察室を出る。



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