過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」2
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957:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/17(日) 22:05:22.79 ID:OaC+whL10
何処か狭くてのっぺりとしている星空を見上げながら上条は白い息を吐く。
頬を刺す風はまだ冷たく、三月だというのに冬の残滓は十分過ぎる程に存在感を主張してくる。
学園都市の風はイギリスのそれよりも何処か冷たく感じるのは気のせいだろうか。
掴んだ手すりにもたれかかる。
「よ」
不意に掛けられた声に驚くことなく振り返る。
腰に手をあてた御坂美琴が薄っすらと微笑みながら立っていた。
その手には二本の缶コーヒー。
「御坂……」
「何辛気臭い顔してるのよ。って、アンタ昔っからそうだったわね」
「余計なお世話ですぅ〜」
美琴から缶コーヒーを受け取りながら口を尖らせる。
銘柄はイギリスでも見かける有名な飲料会社のモノだ。
ブラックは余り好きでもないのだがな、とは口にせず上条は礼を言って一口飲む。
熱いコーヒーの喉を滑り落ちる感覚に、小さく身体が震える。
自分自身気付かぬ内に冷え切っていたようだ。
「アイツは?」
「特に異常無し。ってか、本人は大袈裟過ぎンだよってブー垂れてたけどねえ」
「上条さんの方が重症でしたよ。骨に罅入りまくりだし」
「アイツは脳に大怪我したことがあるでしょ?心配してし過ぎってことは無いのよ」
入院なんてご免だと怒っていた一方通行は、結局御坂母娘と、その後駆けつけた絹旗、打ち止めを加えた四人の上目遣いのお願いに根負けした。
今はコアラのようにくっ付いた想と一緒に憮然とした表情でベッドに居る。
最も、憮然としているのは照れ隠しだということには誰もが気付いていた。
色白というのは、どうにも不便なものだ。
実に鮮やかに赤色が浮かぶのだから。
くすくすと笑って美琴はブラックコーヒーを呷る。上条はそれを目にしてふと違和感に気付く。
「お前ブラック飲めなかったんじゃないのか?」
缶コーヒーを掲げて首を傾げる。
美琴は一瞬きょとんとするが、すぐに照れくさそうに笑う。
「何かと徹夜することが多くてね。まぁ、後はブラックばっかり飲んでるヤツが居ると自然とね」
「ふぅん。そういうもんか。……うん、そういうもんだよな」
何か思い当たるところがあるのか、上条は小さく頷いた。
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