過去ログ - 一方通行「いい子にしてたかァ?」2
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962:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/04/17(日) 22:16:46.95 ID:OaC+whL10
何て。
何て綺麗に笑うのだろう。
何て。
何て嬉しそうに笑うのだろう。
何て。
何て幸せそうに笑うのだろう。
美琴が右手を差し出す。
上条は考えるよりも先に右手で握り返す。
「ありがとう。それから ――― 」
美琴は上条の手をじっと見る。
自分を救ってくれた手。
自分を絶望に落とした手。
自分に新しい希望を残してくれた手。
今ある自分を造るのに、不可欠だった優しく、無骨な右手だ。
けれども、もう美琴にはこの右手は必要など無い。
もうではない。既に。とっくに。それが彼女の『今』なのだ。
この右手を握っている暇など彼女には無い。
不器用で、撫でられることを信じきれない困った野良猫が居る。
その馬鹿猫をこの手で撫で手やらなければならないのだ。
何度も何度も。手が足りなければ他にも呼びかけてやろう。
皆でもみくちゃにしてやろう。
観念して、甘えることを覚えるまで。何度でも。
だから、これは一つの儀式なのだ。
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