過去ログ - テッラ「『光の処刑』が完成しました。」
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624:1[sagesaga]
2011/06/01(水) 01:06:24.65 ID:fEW6VRQAO

そう思いながらも、しかしテッラは僅かばかりの後悔と疑念を抱いてしまう自分がいるのを無視する事が出来なかった。

……もし、もしも……あの異教徒の息の根を止めてしまっていたら……?

確かに、この街に来る前に「無益な殺生は行わない」と誓った。…だがしかし、あの異教徒は私に魔術を向け、友人を傷付けた。…果たしてそれでも、私はあの異教徒を擁護しなくてはならないのか……?

思う。思う。思う。
思い、思い、そしてテッラは、更に思う。
暗く黒い、魔術師としての『左方のテッラ』を。

仮にあの異教徒を殺していたら、誰かにバレるのか?死体は残さずに消し飛ばす事も、今の自分なら可能だろう。そして、己の術式を使えば、破壊の痕までは消せずとも、血痕位は消す事は可能だ……。
………いや、そもそも、「バレる」事を恐れる事が可笑しい。自分は何だ?誰だ?この『左方のテッラ』に恐れるものがあるのか?寧ろ恐れるべきはそちらではないのか?






ジャリッ…





果たしてその音は、人がいないこの狭い公道では、より一層響き渡った。
はた、と深みにはまった考えを中断し、己の思考を断ち切った音に反応して、テッラはその音源へと顔を向ける。
それは砂利の音。
堅く、僅かな凹凸があるコンクリートと、人間が自らの体重を支える脚部を保護する靴の底辺との間に挟まり奏でた、鈍い音。
それは、世間一般には「足音」と形象されるものであり、

即ち、

テッラの目の前に人間が現れた事を意味する事と同義であった。


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