25: ◆le/tHonREI[saga]
2011/03/16(水) 23:06:13.39 ID:ypt9zfofo
「―――おやあ? 結局出陣するのかな」
ドアを開けた先にいたのはかつての敵。
彼に悪夢を思い出させた相手でもある。
ロシアで向かい合った時点の彼女は彼の罪の象徴だった。
見ているだけでも胸が締め付けられる存在だった。
どちらも傷つき、どちらも悪意に流されてここまできた。
その経緯はどうであれ、ここで今こうして一緒に暮らしている。
平穏をかみ締めている。
数秒の間視線を合わせると、一方通行は彼女の待遇に驚くことなく、無視して進もうとする。
が、一歩目を踏み出したところで肩をつままれた。
軽く手で手を払って、それからはき捨てるように伝える。
「……オマエ、ずっと起きてやがったな」
「もちろん。……しかし、いやあ、果たし状ってなんだかなあ。ミサカはもっと下衆な発想の方が好きだけど」
「どの道オマエには関係ねェ」
「―――上位個体には関係あるって?」
「………、」
くつくつと笑い出す相手は悪意を集めた存在であるので、今更取り合うようなことはしない。
それでも彼女は頭の後ろで腕を組みながらこう続けた。
「古典的な手だね。当時の事情は今日の発信から、カケラほどしか伝わってないけど。あなたってアチコチで恨み買ってる」
「身に振る火の粉を払ってくるだけだ。すぐ終わる」
「―――はてさて、本当にそうかな?」
「……、……何が言いてェンだ」
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