過去ログ - 初春「花束をあなたに」
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30: ◆le/tHonREI[saga]
2011/03/17(木) 00:28:47.12 ID:W/9QThPBo


「―――あの花飾りのガキは」

『………ッ』


突然思いついたそんな台詞を、本当に何ともなしに伝えた。
意図もないし、意味もない。

さきほどの番外個体との会話が影響しているからとか、そういうわけでもない。
単純に会話のペースを保つために、ただ投げただけだった。


すると。


『……、テメェ、初春に何をした』


声色が急変したことに気づく。
違和感だった。頭の中にいる垣根帝督からは到底想像できない。
いや、これは、あの時、追い詰めた際に無意識に聞こえた彼の断末魔に近い。

逼迫しているわけではないが、どこか感情が揺らいだように聞こえる。


「―――さァな。勝手に想像しろ」

『クソ野郎。今度こそ殺してやる』


プツッ―――。

電話はそこで切れる。
後には夜の静けさが保たれていた。


(………、………)


自分の中に芽生えた違和感を分析しながら、一方通行は再戦の場所へと赴く。
地獄の門が開いているだけかと思っていたが、どうやら事情はもっと複雑らしい。
番外個体をやはり連れてくるべきだった。

シンプルな二元論で終わらせておけば、大義名分を鑑みることなく相手を始末できたはず。
感情を裏付ける理屈を求めてしまうのは、戦争が終わっても変わっていない。
何かをするには理由が必要なのだ。自分が歩んできた道が、そうすることを自分に強要している。

しかし―――。


(―――めンどくせェな)


帷の中に消える彼の背中からは、それ以上の何を推し量ることもできなかった。


………

……




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