197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage saga]
2011/06/19(日) 03:41:20.16 ID:i3ah48K2o
エージェントE「……信用できない、という『表情』をしていますね。仮面の上からでもわかりますよ。ならばそうですね、こういうのはどうです」
エージェントEは耳のインカムを取り、内ポケットから通信機を取り出した。
そして両方地面に落とし、踏み潰す。
エージェントE「これでここの会話は誰にも聞かれません。つまり機密情報を話してもバレないということです」
タックマン「どういうつもりだ」
エージェントE「どうもこうもありませんよ。あなたに真実を話すといっているんです」
タックマン「……話せ」
エージェントE「この街に『滅び』がやってきます」
タックマン「『滅び』だと?」
エージェントE「ええ。『滅び』が何を意味しているのか、具体的にどういうものかは私も知らされていませんが、『それ』はこの桜が丘で生まれ、街を食らい成長し、やがて世界を滅ぼすに至る一種の『怪物』だそうです」
タックマン「怪物……?」
エージェントE「この街でエヴォルドクラスが生まれたのも、『滅び』が始まる前に世界を別のものに変化させてしまうという、一種の防衛反応であるという仮説も一部の学者は唱えています」
タックマン「防衛反応? 一体誰の」
エージェントE「この街自体の、ですよ。生物とは一種の『構造』です。魂とは情報。肉体とは細胞の、そして原子の。我々の生死感を超越したものだってこの世界には数多存在するんですよ。それはエヴォルドクラスであり、そして『滅び』もそのようなものです。この街という、人間を材料とした『構造』は、時に人でいう魂として機能する。」
タックマン「……確かなのか」
エージェントE「わかりませんよ。与太話の可能性もあります。しかしエヴォルドクラスの力が本物であることは、他でもないあなたが体感したはずでは?」
タックマン「……」
確かに、エヴォルドクラスが生み出す世界は本物だった。
人間の価値観や考え方では計り知れないものが、この世界には確かに存在する。
タックマン「その滅びと対抗するために、ナイトストーカーはクラス5を集めているのか」
エージェントE「そう。我々と共に戦ってくれるクラス5を集めているのですよ。『滅び』を倒すために。もちろん、それは本人の自由意志に任せますが」
タックマン「……」
エージェントE「あまり言いたくありませんが、あなたはこの街を救うことはできません。あなたは『滅び』と戦うには、あまりに非力すぎる。予測では、『滅び』の持つ力はエヴォルドクラスの持つ創造の力を『破壊』に置き換えたもの。つまり神が人間に牙を向くということです。とてもじゃありませんが我々常人の入り込める余地はありませんよ、『滅び』との戦いにはね」
タックマン「……」
エージェントE「そろそろ私は行きますよ。通信できなくなった言い訳をしにいかないといけないので。では、ごきげんよう」
タックマン「そんな……」
この街が、滅びる。
タックマン「そんなこと、絶対にさせない……」
――あなたは『滅び』と戦うには、あまりに非力すぎる。
たとえ力が無くても、できることがあるはずだ。
非力なただの人間にも、できることが。
必ず。
タックマン「この街を、滅ぼさせたりなんか、しない!」
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