212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/08/23(火) 21:14:34.01 ID:vrmooJWNo
和「そんなに可愛いとは思わないですね。なので――」
和は眼鏡に手をかける。
憂「和ちゃん、それは!」
和「――お断りします」
和が眼鏡を取った瞬間、ドラグスレイブは消滅した。
さわ子「……!」
和「まだやりますか。先生の能力がいかに強力でも、私の『魔眼』にはさして影響しませんけど」
眼鏡を外した和の瞳は、見たことが無いような深い色に光っていた。
――魔眼。和の言うその意味はわからない。波動は感じず、変異種の能力ではなさそうだ。
強引にやればこの『デビルズ・サンクチュアリ』が負けるはずはない。しかし、今は手札が少なすぎるか。
さわ子「……そう。ここで本気でやりあってもいいけど。今はやめておくわ。あなた達の絆に免じてね」
さわ子が指を鳴らすと、その隣に黒い壁が現れる。そこに足を踏み入れると、その反対側に足は出てこない。空間転移だろう。
憂「和ちゃん」
和「深追いはしないわ」
さわ子「じゃあね、二人とも、唯ちゃんと仲良くね」
和「先生に言われなくとも、私達は唯のことが大好きですよ」
さわ子「そっか」
さわ子は安心したように笑った。本心なのかは和にはわからなかったが。
憂「すごい……すごいよ和ちゃん! クラス5に勝っちゃった。やっぱり和ちゃんは私達の王子様なんだね!」
和「そんなことはないわ。あんなものはこけおどしよ。強引に攻撃されてたら十秒も生きられなかったでしょうね」
憂「……そう、なんだ」
和「魔眼は変異種の能力ほど便利ではないしね。能力の強弱に関わらないのは本当だけれど、クラス5にもなれば押し切ればなんとでもなるわよ」
憂「……なのに、私達をかばったの?」
和「そういうことになるわね」
憂「和ちゃん……。そういうこと、お姉ちゃんも私も喜ばないのに」
和「でも、結果的に憂を守れたわ。私はそれだけで充分よ」
憂「……もう」
和「さ、唯を連れて帰りましょう。今日は泊まるわ」
憂「うん……。あ、和ちゃん。お風呂、一緒にはいろっか」
和「あら、子供みたいね」
憂「和ちゃんと会うと、いつもこうだね」
憂は本当に子供みたいな――唯がよく浮かべるような無邪気な笑顔を浮かべた。
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