23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sage]
2011/03/17(木) 04:26:06.67 ID:LjwDMhJO0
二年と少し前 日本 桜が丘高校 音楽室
律「ムギのやつ、卒業式に結局来なかったな……連絡もつかないし。どうしたってんだ……」
澪「ムギ……梓に送る曲、一緒に演奏できたらいいけど」
唯「ムギちゃん、きっと来るよ。信じて待ってよう」
三人は音楽室でムギを待っていた。梓は少しあとから来る。ムギの提案で、梓には特別な曲をプレゼントする予定だ。
だが、肝心のムギが今朝からいない。メールを送っても返事は無いし、携帯にも出ない。家の電話にかけてみたが、常に通話中で繋がらなかった。
さわ子「みんな!」
勢いよく扉をあけて入ってきたのはさわ子だった。三人は顔を輝かせる。さわ子にムギへの連絡を頼んでいたのだ。
だが、すぐに不穏な気配を感じ取って三人の顔は暗くなった。
さわ子「みんな、落ち着いてよく聞いてね。昨晩、ムギちゃんのご両親が……亡くなられたわ」
澪「っ……!」
澪はその場でへたりこんでしまう。耳を押さえてガクガクと震えだした。『死』というキーワードが恐怖に弱い澪の臨界点を容易に超えてしまったのだろう。
唯「そんな……」
律「ムギは、ムギはどうなったんだよさわちゃん! ムギの両親は、やっぱり事故かなんかなのか!?」
律は動転してさわ子の肩をつかみ、ゆさぶる。
さわ子「落ち着いて、りっちゃん。ムギちゃんは無事よ」
律「……そ、そっか……よかった……」
唯「でもなんで、ムギちゃんのお父さんとお母さんは……?」
さわ子「それは……生徒にはあまり言うなって言われたけど、あなたたちには言わなければならないことね。……殺人よ」
律「殺人!? 一体誰が……」
さわ子「強盗目的、なのかしら。ムギちゃんの家がお金持ちだっていうのは知ってるでしょう。昨日の夜、ムギちゃんの卒業祝いに三人でディナーに出かけていたその時に……」
唯「じゃあムギちゃんは、目の前でお父さんとお母さんを……?」
さわ子「そういうことになるわ。唯ちゃん、りっっちゃん、澪ちゃん。こんなときあの子を支えられるのはあなたたちだけだと思うの。だから……」
律「もちろんだ! なあ、唯!」
唯「うん。ムギちゃん、きっと悲しんでると思う。悲しいとき、独りでいるのは、怖いよ……」
律「そうと決まればさっそくムギに会いに行くぞ!」
さわ子「え、今から!?」
律「もっちろん!」
唯「あずにゃんはどうするの?」
律「梓は私たちの卒業がたぶんかなりこたえてると思うんだ。今こんなことを知らせたら、きっとふさぎ込んじゃうと思う。だから今は黙っておこう。ムギが元気になったら、ムギの元気な顔も見せて安心させて、あの曲を贈ってやろうぜ!」
唯「……うん。そうだね。それがいいと思う」
律「澪もそれでいいよな!」
澪「ミエナイキコエナイ……」
律「おいおい」
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