72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/03/19(土) 06:26:04.82 ID:whhP9ezKo
黄金「てめぇ……やってくれたぜ、ヒーロー気取りがよぉ」
タックマン「……貴様が組織のボスか」
黄金「ああ、その通り、俺が変異種を率いてこの街で楽しく遊んでる部活の部長さんさ! そしてそこの眠り姫は俺たちのクイーンだぜ、ヒーローォ!!」
タックマン「この少女を何に使うつもりだ」
黄金「へっ、てめぇが大事そうに抱えてるそいつが、鍵なんだよ。世界をぶっ壊すためのなぁ!! へへっ、正義のヒーローならその小娘からぶっ殺したらどうだい? そしたらお前は世界を救った『英雄(ヒーロー)』になれるんだぜ!」
タックマン「……私はこの街の人々を守る。貴様の好きにはさせない」
黄金「お前狂ってるぜ、本当に何を守るべきか。自分の守ろうと思ってるものが何なのか、本当にわかってんのかよ。本当は、お前はヒーローにもなれねぇ、ただの狂った獣なんじゃねえのか?」
タックマン「それはこの街が決めることだ。貴様ではない!」」
黄金「へっ、かかって来いよ。意見を押し通してえなら、力がねえとな」
タックマン「言われなくとも、そうさせてもらう!」
タックマンは律を地面にそっと寝かせ、黄金のほうを向き直る――が、そこには黄金の姿は無い。
黄金「どうした、俺はここだぜ?」
タックマン(後ろ!?)
気づいた時にはもう遅かった後ろから黄金の丸太のような太い腕によるラリアットでタックマンは地面に叩きつけられる。
タックマン「がっ!!」
黄金「てめぇのスーツがどれだけ硬かろうが、俺は越えられねえよ。俺の能力『黄金』は俺自身の身体を鋼鉄以上の硬度を持つ金属に変化させる」
黄金の身体が徐々に変わってゆく。金色の金属。全身がメタル化してゆく。
黄金「これが、俺の本当の姿だ」
タックマン「くっ!」
タックマンは素早く起き上がり、黄金の腹部にけりを入れる。が、びくともしない。
黄金「蚊が刺したみてぇだ」
タックマン「ならこれはどうだ!」
タックマンの腕から隠しナイフが飛び出す。高振動ナイフ。鉄板ですら切り裂く威力――
――ぱきん。
虚しい音と共に、ナイフの破片が宙を舞った。
黄金の首に完全に入ったはずだ。だが、破壊されていたのはナイフだった。
黄金「んなおもちゃで、俺を切り裂けるかよ」
タックマン「……うがっ!」
タックマンの顎を黄金の膝が蹴り上げる。重い。一発一発が大砲のようだ。
飛びそうな意識をなんとか手放さないようにするのがやっとだ。
黄金「今ので意識を保つか。さすがにクラス3を倒しただけはあるぜ。だが俺はクラス4だ、相手が悪かったな」
タックマン(そんな……)
これが、変異種の力。今までとは違う。あの常人を遥かに越えた力を持つクラス3を倒したタックマンの力が、全く通用していない。
これがクラス4の――これが変異種の、真の姿。
黄金「そろそろ死ね。……その惨めなお前の『本当の姿』を晒してからな」
黄金はタックマンのマスクに手をかける。もう、タックマンに戦闘能力は残されていない。
タックマン(これで、全てが終わる……)
タックマンとしてこの街に秩序をもたらそうとした。このどうしようもない時代にで、正義を追い求めた。
自分はヒーローにはなれないという自覚はあった。不安と戦い続けた。
それでも、何か成せることがあると信じて。
だが、それもここで全て終わる。
タックマンとしての戦い。琴吹紬の、短く、惨めな人生。全て、終わりだ。
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