85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)[sage saga]
2011/03/22(火) 05:24:52.10 ID:A0O8EXjso
日本 桜が丘 路地裏
憂「はぁ…はぁ……ここまで来れば……」
タックマンを地面に降ろす。思ったより重くはなかった。スーツは軽い素材でできているのだろう。
だが、それにしても軽すぎる。男性の平均体重にも届いていないのではないか。
それだけではない。なにかタックマンには違和感がある。いま抱き上げても、感触がずいぶんとやわらかい部分がある気がする。
憂「もしかして……」
タックマンは女性なのではないかと思った。
元々、タックマンが男性であると明言したものはいない。ただ「〜マン」という名前がついていただけで、こんな力の持ち主は男性であろうと思い込まれていただけのことだ。
しかし、変異種でもない。変異種独特の波動は全く感じない。
憂「……」
タックマンを見る。表情の見えない白いマスク。この人は、このマスクで本当の自分を隠して戦い続けている。
このどうしようもない時代で、たった独り、正義を貫き通そうとしている。
正気の沙汰とは思えない。
だが、だれかがやらなければならないことだ。
どんな時代でも、世界を変えるために誰かの陰で、みなのために戦ったものがいた。
時間は何も解決してくれはしない。意思を通す存在が――世界を変えようと戦う者が必要だ。
彼らは後の時代、英雄と呼ばれることになる。が、それは珍しいケースであるといえるだろう。
ほとんどは、志半ばで倒れ、誰でもないただの狂人として時代に消えていくことになる。
このタックマンも、きっとそうだ。変異種ではないこのただの人間が時代を変えようと戦っても、きっと勝つことは出来ない。
変異種の力は想像を超えている。クラス4ですら、もはや人が何人集まろうが、どんな兵器を使おうが太刀打ちすることはできないのに。
それなのに、その先が存在する。
世界に十人いるといわれるクラス5。そして究極のエヴォルドクラス。
タックマンはそんな世界を相手に戦わなければならない。
タックマンに、輝かしい未来などないのだ。
憂「この人、どうしよう……」
自分の家に運ぶ? そう考えたのは一瞬だった。今は唯がいる。
やはり、身元を確認しなければならない。
憂「し、失礼します……!」
そうして憂はマスクに手をかけた。
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