過去ログ - 一方通行「飯も風呂もできてンぞ」番外個体「それじゃあ、あなたで」
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103: ◆3vMMlAilaQ[saga]
2011/03/30(水) 12:01:57.24 ID:2pAAEUvjo


『この度はご当選おめでとうございます。統括理事会から正式な許可が下りましたので、
改めまして沖縄二泊三日の旅をご案内させていただきます』


茶封筒に入ってそんな知らせが届いたのは、福引きから三日後のことだった。
ついでにパンフレットもどっさりと入ってきて、白い砂浜だとか青い海だとか水着のお姉さんだとかに心も昂ぶる。


「お、沖縄に行けるの!?」

「みたいだな」


バイトから帰ってきてテーブルの上に散らばるそれらを発見した番外個体は跳び跳ねて、満面の笑みをみせた。
もしかすると無理かもしれないという旨を伝えられた日から彼女はどうも静かだったのだが、久しぶりの笑顔満開。
そこはかとなく消沈オーラを漂わせていた彼女よりもやはりこちらの方がしっくりくる。
一方通行としても落ち着いてしまうのは否定できないし、それを別段嫌とも思わない。


「沖縄ってミサカ、テレビで観てから憧れだったんだよね! あひゃひゃ、興奮してきたよ!」

「そりゃ結構。つーかはしゃぎすぎると行く前から疲れンぞ」


ただ、どこか引っ掛かりを覚えてしまうのだ。
というのも、


(……どォいうことだ? これが当たった日に上に掛け合ってみたが、回答を濁すだけ。
 その後の審議で許可を出すことにしたのかもしれねェが、あの濁し方でOKはまずなさそォだった。……まさか、何か裏が……?)


本当はとある変態、じゃなくて二人の幸せを切に願う親切な男女が暗躍した結果なのだが、
それを知らない一方通行は怪しく思って当たり前だ。
そんな彼とは対照的に、番外個体はパンフレットを喜色満面で眺めている。
かと思えば携帯をいじりはじめて、


「……何してンだ?」

「持ってく物とか、買わないといけないものとか。まとめておかないといけないかなって。
 あ、ミサカ水族館行きたいな! 観光誌も買わないとね」

「おう、もォ完全に頭ン中沖縄じゃねェか……。あのなァ、」


ちったァ猜疑心ってのを抱きやがれ。
そう言おうとして、しかし一方通行は口を噤んだ。
こうして楽しそうに、嬉しそうにしている番外個体を前に誰がそんなことを言えよう。
彼女がそうであることが何よりも最優先であるべきで、それだけで何等不足はないではないか。


(もしこれに裏があったとしたても、その時はコイツを護り通すだけ。ハッ、上等じゃねェかクソッたれ。乗ってやンよ)


本来は協力者である学園都市を勝手に黒幕認定し、決意を固くする一方通行であった。



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