過去ログ - 仮面ライダーW「さあ、インキュベーター! おまえの罪を数えろ!!」
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)
2011/03/19(土) 21:13:37.42 ID:Vpfm+ia40
 目を細め、注意深くそれを眺めると、凝固した死体には不可思議なほど、その痣はぬらぬらと赤くぬめっているのが見て取れた。

「夜間、しかも光の当たりにくい場所でここまで鮮明に映るとは。
照井竜。この写真は発見されてまもなくのものなのかい?」

「いや、これらの写真は事件が起きてから数時間が経過してからのものだ。
投身自殺自体、風都郊外の営業されていないホテルで起きたものだからな。発見自体時間が経過している」

「ちょっと待てよ、これ事件があったすぐあとに撮ったものじゃないのか?」

「事件が起きた場所が見滝原管内と風都署の境界でな。それで余計に手間取った」

 照井は、顔を歪め吐き捨てる言葉を切ると、眉をしかめ押し黙る。

 深い沈黙の中、我関せず、写真に目を走らせるフィリップが強く咳き込んでいる。

 オレの相棒は、座り込んだまま鼻を噛むと、しわがれた喉で、それでも声だけは弾ませながら、沈黙を破った。

「――検索を行うにも情報が必要だよ、翔太郎」

 フィリップの口元。ふてぶてしい笑みが刻まれた。

 亜樹子が相棒の肩を押しやりベッドへと戻そうとするのを横目に眺め、照井に視線を再び戻した。

「受けてくれるか、左」

 照井の瞳が、鈍い鉱石のような強い光を湛えている。オレが断るなど微塵も思っていないだろう。

 古来より、探偵が警察にさよならをいう方法は見つかっておらず、オレもまたその因習に縛られ続けている。

 もっとも、探偵にたかる蚤が警察だとしたら、その蚤が居なくなってしまえば、

 オレは自分が野良犬だってことも忘れちまうのだろう。

 無言のまま椅子から立ち上がると、帽子掛けからソフトを取り、頭に載せた。

 それが物語のはじまりの合図だった。


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