過去ログ - 火憐「兄ちゃん、あんま無茶ばっかすんなよな」
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189: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/03/29(火) 23:45:56.19 ID:24bZVFNg0
 と、それまで黙っていた忍が、彼に寄り添うように立つ別世界の自分に向けて問いかけた。
不遜な態度は変わらないが、その表情は幾分穏やかで。
答えは聞かなくても分かっているけれど、形式的に聞くだけ聞いておいた、という感じだ。

「言うまでもなかろう」
「じゃろうな」

 視線を交わし合った二人は、それだけで全てを理解したかのように、微かに笑い合う。
共に生き、共に死ぬ――その誓いは、こんな絶望の中にあっても、破られてはいなかった。
どんな選択をしても、どんな世界であっても、だからきっと破られることはないのだろう。

 そしてまた、忍がいるからこそ、こいつはかろうじて生きて、戦っていられるのだとも思った。
物理的な意味もそうだけれど、それ以上に精神的な意味で。
一人じゃないから。だから生きている。生きていける。
共に最期を迎える、その時までずっと。
それが痛い程――本当に痛い程、よく分かった。



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