過去ログ - 火憐「兄ちゃん、あんま無茶ばっかすんなよな」
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30: ◆/op1LdelRE
2011/03/20(日) 01:16:23.42 ID:2i3mHfds0
「じゃあ忍、影に入ってろ」
「着いたら知らせよ」
「わかってる」

 そんなやり取りを交わしつつ、とりあえず書き置きだけは残しておくかと一筆したためることにする。
一応病人扱いで休んだわけだし、何もなしに家を出たら、帰ってきた時が怖い。
特に妹達の暴走が。
それを避ける為にこそ、風邪が治ったから勉強に出掛けるとか、それらしいことを書いて残した。
何でこんなに妹達に配慮する必要があるのか、若干の理不尽さを感じないでもなかったけれど。

 さても相変わらず、そんな風に、愛すべき妹達からの襲撃を恐れるという自身の立ち位置について、呑気に疑問を覚えたりしていたわけだが。
しかして僕はこの時、それが全く勘違いの心配であり、限りなく筋違いな不安であり、揺るぎなく間違った懸念であるということを、まるで想像できていなかった。
心配すべきは、不安を持つべきは、懸念すべきは、もっと他にあってよかったのに。
妹達が僕を心配して云々の思考に至っておきながら、その先にまで考えが及ばない。

 いつもそうだった。
薄くて弱い僕の思考は、やはりどこまでも見当違いの見込み違いで、徹底的に的外れ。
この日の僕もまた、昨日までと同じだった。
もうどうしようもなく、同じでしかなかった。



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