過去ログ - 【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
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21: ◆NAZC84MvIo[sage sage]
2011/03/23(水) 21:25:48.13 ID:sEfHjDp60
同じことを繰り返しながら違う結果を求めるのは、愚か者のする事だ。と、
どっかの偉い人が言ってた気がする。つまり違う事をしたら違う結果が返ってくるという理屈だ。
ならば、普段では有り得ないような珍しい事があると、さらに珍しい事が引き起こされる――
今の俺はそう言われると信じるかもしれない――

「あれ、ブリジットじゃねーか?」
ブリジットとは桐乃の大好きなアニメ「星くず☆うぃっちメルル」に登場する
アルファ・オメガとそっくりなイギリスの女の子だ。
公式のコスプレ大会で常に上位に入賞するほどで、
それを見込まれ今では本格的にタレント業をしているはずだ。
場所は秋葉原。やってる仕事を考えれば場違いではないが、仕事中って雰囲気じゃない。

「よっ!こんなところで何をやってるんだ?」
「ふぇっ!?どちら様ですか?」
以前、加奈子のマネージャーとして顔をあわせてから二年近く経つかな?
「ああ、覚えてないのも無理ないか。ほら結構前に・・・」
「――彼氏さん?」
「へっ?」
いきなり妙な呼ばれ方をして素っ頓狂な声を出してしまった。どういう意味だ?

「あ!やっぱりそうです!かなかなちゃんのお友達の彼氏さんですね!」
はっと思い出した。そういえば俺はこの子とは、加奈子のマネージャーとして以外に、
桐乃の彼氏として顔を会わせた事があった。――あの偽装デートの時に。

「そ、そうだ!よく覚えてたな、君と違って俺はただの一般人なのに」
「え?エヘヘ///」
なんて可愛らしい仕草で照れるんだ、この子は。思わずぎゅっとしたくなるじゃないか!

「今日はお一人なんですか?彼女さんは?」
「ああ、ちょっと用事があって今日は一人だ。君は?」
「かなかなちゃんに置いて行かれました・・・」
思わずぷっと噴き出してしまう。
ブリジットが加奈子を慕い、加奈子がそれをウザがる構図は変わってないらしい。

「せっかくだし何か食べていくか?」
桐乃にも黒猫にも沙織にさえ疎外されてた俺は、つい目の前の知人を誘ってしまった――


「懐かしいです!」
以前、偽装デートの時に来た店だ。まさかこの子と二人で来るとは夢にも思わなかったな。
まあそれを言うなら、あの三人が揃って俺を置いていく状況も、考えたことは無かったが。

「どうして今日はお一人なんですか?」
「今日は女の子だけで遊びたいんだってさ」
沙織のガンプラが何かのコンテストで大賞をとったお祝いパーティ※ただし女性に限る。
あいつらから聞かされた理由はそれだが、ただの口実だろうな。
実のところ最近桐乃と黒猫の関係がかなりギクシャクしている。
沙織が「大事な友人二人に祝って欲しい」と言って、強引に引き合わせたってワケだ。
「寂しいですね」
「まぁな」
苦笑いを浮かべて素直に肯定する。この子に意地を張っても意味がない――
パフェを頬張りながらチラチラとこちらを見てくる。

「なんだ?何か付いてるのか?」
「あの、お二人はまだ恋人同士なんですか?」
「ん・・・、ちょっと違うかも。―――――実は結婚したんだ」
「えぇえーーーーーーーーーっ!!!?」
「バカ!声が大きいっ!!」
なんで!?いつ!?どうして!?と
興奮冷めやらぬ様子で矢継ぎ早に質問してくるブリジットをなだめながら話をする。

「こんなに早く結婚しちゃうくらいお二人は、その・・あ、愛し合ってたんですか?」
「う〜ん、どうなんだろうな?」
「好きじゃないのに結婚したんですか?」
おいおい、とんでもない聞き方してくるなぁ。

「まぁ・・・、離れたくなかったんだよ」
あのままじゃ俺たち二人はきっと離れ離れになってしまっていた。
ただ、寂しかったのか、心細かったのか――それとも【俺と離れたくなかった】のか。
桐乃の真意は未だにわからない。――でも、それは俺も同じだ。

「まだ、もう少しアイツと一緒に居たかったんだよ・・・」
家族愛?兄妹愛?――大嫌いだったはずのあいつとの暮らしが放し難い理由は――
「俺にも良く分かんないんだけどな」

ちょっと縁遠い第三者の方が本音を話しやすいのは本当みたいだ。
こんな桐乃より年下の女の子に、自分でもよくわからない悩みを言うなんてな。

「でも、わたしはお二人が羨ましいです!」
そう言って見送ってくれたブリジットの笑顔はとても眩しかった。


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