過去ログ - 【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
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◆NAZC84MvIo
[sage sage]
2011/03/24(木) 16:25:24.81 ID:4q2LWz3W0
「――じゃ、これなら注文してもいい?」
「殴りますよ」
喫茶店で一番高いメニューを指差しながら、年下に奢らせようとしている目の前の女性は
伊織・フェイト・刹那、いわゆるダメ人間だ。
「ひ、酷くないっ!?」
「わざとらしい演技は必要ありませんよ」
妹さんの事で大事な話がある――そう言われて呼び出されたのに、
さっきからやってることはひたすら飯を奢らせようとしてるだけ。
「大体、今はそんなにお金に困ってるわけじゃないんでしょう?」
その昔、小説家を目指して様々な出版社に投稿を続けていた彼女だが、
いかんせん才能には恵まれていないらしく、未だその夢は叶わないままである。
だが、面白いものを見極める目は確かであるらしく、今ではその能力を活かし、
いわゆる同人ゴロという仕事(?)をしているらしい。
「株で失敗しちゃって・・・」
このザマである。冒頭で俺がこの人をダメ人間と称した事を誰が責められよう?
「こっちも以前と違ってお金には余裕が無いんで諦めてください」
「ちぇっ」
「それよりも本題に入ってくださいよ、桐乃に何があったって言うんですか?」
「それは私が聞きたいわよ!また盗作疑惑をかけられたんだから!」
「へっ!?」
フェイトさんは以前、桐乃の書いた「妹空」というケータイ小説を盗作した前科がある。
熊谷龍之介ことぷーりんさんという出来た編集者のお陰でその問題は一応の解決を見たのだが――
「どういうことなんですか?」
「だから、妹空の続きを彼女が持ってきたのよ」
「それでどうして盗作疑惑が?」
『理乃先生が書いたとは思えない。信じたくないが君はまだ反省してないのかね?』
「なんすかそれ?」
「熊谷さんに言われたの・・・」
がっくりとうなだれる彼女に自業自得と言いたくなったが、それよりも聞きたい事が出てきた。
「続編を桐乃が書いたんですか?」
「そ、それでそのまま熊谷さんに渡したらさっきのセリフを言われたってワケ」
「読まなかったんですか?」
「私は桐乃ちゃんを信用してたからね〜。そんな酷い出来だなんて思ってなかった。
でもわざわざ私に一度渡したってことは彼女自身も出来が良くないって思ってたのかも」
どういうことだ?そもそも桐乃があの小説の続編を書いたこと自体が寝耳に水だ。
「・・・・・あいつ、何でいきなり続編なんて言い出したんでしょうか?」
「な〜んかお金が欲しかったからみたいよ?」
「なんすかそれ!!」
そんなことの為に?にわかには信じがたい。
少なくともあの時のあいつは書きたいから書いていたハズだ!
「お金の為に書くのだってそんな悪い事じゃないとは思うわ。ただその中身がね・・・」
「どうだったって言うんですか?」
「上手く言えないから・・・アレコレ説明しても仕方ないし、むしろ私が聞きたいの」
「何を?」
「“彼女に何があったの?”」
わざとらしい演技じみた質問――俺は返答に詰まった。
「ご両親に不幸な事があったことは聞いたわ、でもそれじゃリノの説明がつかないの」
リノとは桐乃のケータイ小説の主人公だ――そしてそれは桐乃の分身でもある。
それが見る影もないほど変わり果てていたとでも言いたいのか?
「言い辛いことなら無理には聞かないけど?」
「―――んじゃ、聞かないで下さい」
俺には変わったようには思えない桐乃の態度、だが本当は無理をしてるとでも言うのか?
どいつもこいつも好き勝手桐乃の心配ばっかりしやがって!
「それじゃ、もういいですか?そんなヒマじゃないんで帰ります」
わかりやすい不機嫌オーラを出しながらさっさと席を立つ。
「鈍いなぁ・・・」
何かつぶやいてる様だがもう聞く気はない――
「アレじゃ僕が彼を呼んだ理由もわかってくれないだろうな・・・」
普段とは違う口調に気付く事もなく、俺はそのまま店を出て行たのだ――
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