過去ログ - 【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
1- 20
55: ◆NAZC84MvIo[sage sage]
2011/04/03(日) 22:25:52.40 ID:S6eT2Zaz0
今、桐乃はなんて言った?
あんたのことが好きだから?
誰が誰を好きだって?

「・・・・・気付いてなかったでしょ?あんた鈍いもんね」
「・・・・・すまん」
「・・・・・」
「・・・・・」
気まずい沈黙が続く。というかこんな時なんて言えばいいんだよ!?
大体桐乃は妹だぞ!?

「なんか言ったらどうなの?」
「いや・・・なんて言えばいいんだよ、いきなりそんなこと言われても何も出てこねえよ・・・」
「・・・じゃ、あたしに聞きたいこと聞けば?一番言いにくかったことはもう言っちゃったし」
「ん・・・、そうか」
聞きたいこと、聞きたいこと、ああダメだ!さっきのセリフが邪魔をする。
こいつが俺のことを好きだなんて何の冗談だ!?
そりゃ家族なんだから嫌われてるより好かれてる方がいいけど、
こいつが今言った「好き」はそういう意味じゃないんだぜ!?

「いつからだよ?」
「・・・関係あるの?今のあたしがそうなんだからそれでいいじゃん」
「いや、関係あるだろ。俺が黒猫と付き合いだした時はどうだったんだよ?」
「・・・・・その頃はもう好きだった」
なんてこった。それじゃ、こいつはどういう気持ちで俺たちと一緒にいたんだろう?

「黒猫は知ってるのか?その・・・お前の気持ち」
「知ってる・・・本気にしてるかどうか知らないけど」
「・・・何て言ったんだ?どう伝えたんだ?」
「・・・・・『兄貴と別れて欲しい』って言った」
「本気かよ・・・。じゃ、何で去年は付き合うことに反対しなかったんだ?」
俺と黒猫が付き合いだして一年くらいになるが、その間も俺たち4人の関係は良好だった。

「・・・仕方ないじゃん。あの頃はあんたのこと“兄貴”だって思ってたから」
「今は違うのかよ?」
「違うよ・・・全然違う。望めば結婚だって出来るってわかったから」
実際結婚してるけどさ、俺は血が繋がってなくたってこいつの兄貴だと思ってたのに。

「あんたが『血が繋がってなくても俺たちは兄妹だ』って思ってるのは知ってる。
 でもね、あたしは『血が繋がっててもあたしは兄貴が好き』って思ってた」
初めて聞く桐乃の言葉にただただ混乱する。
そもそも結婚してからもこいつはそんな素振りを一切見せず、
それこそ以前と同じような態度をとり続けていたじゃないか。

「・・・・・お前、結婚した後も全然態度が変わってなかったじゃねーか」
「だってあんたショック受けてたでしょ?」
「は?俺が?何に?」
「自分が実の子どもじゃなかったことに」
そりゃあ驚いたさ、でもそんなショックを受けたつもりはない。
だって俺はあの時までそんな事に気付かなかったし疑問すら抱かなかった。
親父とお袋は文字通り死ぬまで俺を実の息子として育ててくれていたんだ。
感謝こそすれ、それ以外に思うことなどない。

「・・・そんなことは無いさ、それよりお前の方がショック大きかったんじゃないか?」
「なんで?」
「なんでって、俺と違って実の両親が亡くなったんだし」
「・・・それはあんたも一緒でしょ?でも、あたしは?」
「お前?」
「血が繋がってないって聞いて“妹”まで失くしちゃったワケじゃん」
「――!」
「家族全員なくしちゃったようなもんじゃん・・・」
桐乃は続ける――
「二人だけになってからあんた結構変だったよ?
 お父さんとお母さんの部屋は片付けようとしないし、無理して前と同じように暮らそうとしたり、
 何より『あたしとあんたは“家族”だ!』って態度が不自然に多かった」
「・・・それは、お前が心配しないようにって思って・・・」
桐乃は黙って首を横に振る――
「あたしはむしろ嬉しかった、あんたと血が繋がってなかったこと。だからわかる。
 あんたは昔に戻りたがってたみたいだった。
 だからあたしも出来るだけ今まで通りにしようと思ったの」

「あんたが、壊れちゃいそうに見えたから・・・」

それを言うなら今はお前の方こそ壊れちまいそうな様子じゃねーか・・・
桐乃はこんなになるまで無理をして俺を支えようとしていたのか?
まだ16の女の子なのに・・・・・

「ごめんな、気付いてやれなくて。―――――ありがとう」

今まで気付けなかった桐乃の気遣いが、俺はただただ嬉しかった――


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
246Res/184.46 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice