過去ログ - 【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
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59: ◆NAZC84MvIo[sage sage]
2011/04/05(火) 00:03:34.02 ID:YJwhLrk60
「それで?話というのはなんなのかしら?」
「ああ、だけどその前に聞いておきたいことがあるんだ」

なつかしの母校の思い出の場所で恋人との会話――
状況だけ見ればとてもロマンティックなものだろう。
だがこれから話す内容はそんな甘酸っぱいものとは無縁のものだ。

「桐乃が俺のことを好きだっていうのはもう知ってたんだよな?」
「・・・その質問が来るという事はついに告白でもされたのかしら?」
「ああそうだ、だから瑠璃からも聞いておきたい。知っていたのか?」
「ええ、そうよ。以前も言ったでしょう?『あなたの妹があなたを好きなくらいには』って」
「ああ、覚えてるさ。でもそれとは別に瑠璃は桐乃から直接聞かされたんだろう?」
「直接・・・と言っていいのか微妙だけど――」
両親の事故の後、あいつはあやせにすら報告しなかったことを黒猫には伝えたのだ。
実の兄妹じゃなかったこと、そして婚姻届を出した事。

   『あんたなら、あたしが言いたい事、わかるでしょ』
   『・・・別れろ、とでも言いたいのかしら?』
   『やっぱわかってんじゃん』


「・・・俺たちが付き合いだした時は、何か言ってこなかったのか?」
「『あんたと友達だったこと、初めて後悔した』って言われたわ」
「――はっ!マジかよ!?」
つまり俺と黒猫を引き合わせてしまった事を後悔したって意味か。
でもその言葉には桐乃の黒猫への思いがよく現れている。
“その時”まで桐乃は黒猫と友達で良かったって思ってたってことだろ?

「お前らほんとに仲いいな」
「な、なにを――!・・・そ、そうね大事な友人だわ」
否定しかけて止める。ここで変に意地を張っても意味がないのは黒猫も承知だ。

「ベルフェゴールに渡すくらいなら私に、とも言ってくれたし・・・」
「あいつどこまで麻奈実を嫌えば気が済むんだ・・・」
「あなたとあの子が一時期疎遠になっていた原因を思えば仕方ないと思うけれど」
「ああ、まあ確かにそうかも知れねーけどさ・・・」
“自分から兄貴を奪った女”より“自分が兄貴と引き合わせた女”の方がマシ――
つまり、そこに桐乃の意思や存在があるかないかの違いだ。
麻奈実と俺の関係は桐乃なしでも成り立つが、俺と黒猫の関係は桐乃なしでは成り立たない。
まあ他にも俺と黒猫との付き合いを許容できた理由には、桐乃と黒猫の友情もあっただろうが。

「――それが沙織のパーティの時はどうなったんだ?」
「・・・・・同じよ、ただ沙織の前で言った、というだけ――」
「そんでそれ以来お前ら会ってもいなけりゃ話もしてねーのか」
「―――そうよ」
やっぱりそうか。しかしそれなら頼み事が2つになっちまうな。

「悪いとは思うんだけどさ、瑠璃に2つ頼み事があるんだ」
「・・・・・何かしら?」
「まず1つめだけど桐乃と仲直りしてくれないか?
 桐乃が瑠璃を避ける分は仕方ないけど、瑠璃から桐乃を避けるような事は必要ないだろ?」
「それは、あの子が納得すればの話ね」
「それは俺が説得するさ。だからあいつから話しかけてきた時は昔みたいに仲良くしてくれ」
「・・・・・あなたの説得が上手くいけば、そうしてもいいわ」
「ああ、説得するさ。ありがとう」
なんだかんだでこの二人は仲の良い友人だしお互いの理解者でもある。
桐乃だって黒猫とケンカしたままで平気なはずがない。
あやせとケンカした時もあいつは相当へこんでたんだ――

「それで、もう1つの頼み事というのは何なのかしら?」

来た――。決心していたにもかかわらず躊躇してしまう。
ただでさえ黒猫を傷つけるようなセリフだ。さらにその理由も―――

「どうしたのかしら?私はまだ1つしか聞いていないわ」

視界が暗くなる、喉が渇く、鼓動が激しい――
あの時の黒猫とのやりとりを思い出す。
初めて涙を流せたあの日、あの時の黒猫の優しさがなければ俺はとっくに潰れていただろう。
その恩を仇で返すような真似を――

「・・・・・早く言いなさいよ」

大事なものがある。“今”大切にしなければならないものが――
その為に――


「俺と別れてくれ」


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