過去ログ - 【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
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6: ◆NAZC84MvIo[sage sage]
2011/03/20(日) 22:40:00.53 ID:9EuWkLzF0
「―――――そうか、ありがとう」
『なんの!拙者と京介氏の仲ではござりませぬか。礼には及ばぬというものです』

今、俺が電話で話している相手は沙織・バジーナと名乗る妹の友人だ。
本名は槇島沙織といって、かなりいいとこのお嬢様でもある。
妹がオタクの友達が欲しいと思い立って参加したコミュニティ
「おたくっ娘あつまれー」の管理人であり、今では俺の大事な友人の一人だ。
妹のオタク友達としてずっと付き合って来たので、沙織の素顔を見たときには皆仰天したもんだが、
今は沙織のその素顔の部分に救われているところが多々ある。

「いや、本当に助かるよ。相談できる専門家がいるってだけで相当心強い」
そうなのだ――
今、俺たち兄妹は普通だったら経験しないような事もやらねばならない状況にある。
保険の契約などを筆頭に、諸々の財産管理などは、はっきり言って荷が重い。
そもそも困った時誰に相談すればいいのかもわからない状態だった。

『ええ、彼は場数を踏んでいますから頼りになりますぞ』
「ははは、それもそうだけど、信頼できるっていうのが何より有難い」
沙織は俺たちを大切に思ってくれている。これは自惚れじゃ無く事実だと胸を張って言える。
そしてその沙織が信頼できる人物、特にそういう事に詳しい人物を、
そのお嬢様としての人間関係の中から紹介してもらったのだ。

「ま、出来るだけ自力で頑張ってみるけどな」
『無理や過信は禁物ですぞ』
「わかってるよ」
『そうでござるか?』
「?――何の話だよ?」
『一人で全部背負い込もうとするのは、京介氏の美点でもありますが
 恋人にすら何も話さずにいるというのは――』
「まてまてまて!!」
こいつ一体どこまで知ってるんだ?
まさか黒猫に泣きついた話まで知ってるんじゃないだろうな?

『黒猫氏が言っておられましたよ?
 彼からではなく、彼の“奥様”から事情を聞かされた、と』

ああ、そういうことね
桐乃は俺より先にこんな事になってしまった経緯を黒猫に説明したんだ。
ま、あの二人は親友同士だからそんなことをしても不思議じゃない。
問題は、俺が黒猫に報告するのが遅かったことだ。
よくよく考えれば沙織よりも遅かったんだから愚痴る気持ちも湧くだろうな・・・

「その件は非常に反省してるから“奥様”だなんてからかうなよ・・・」
『事実ではありませぬか』
「違わねーケド違えーよ!!」

わけわからんと思うだろ?俺だってわかんねーもん
ま、さっくり説明すると俺はつい最近妹と結婚したんだよ。
余計わかんなくなりそうな説明だが気にするな!

『言わんとすることは伝わりますが、
 出来ればもう少し真剣に考えていただきとうござりまする。
 ―――おそらくきりりん氏の心中は京介氏の比ではないほどに
 混乱されていると思われますし・・』
「・・・」
『京介氏はこういう時自分の事は後回しにしてでも周りの人のことを気にかけるお方ですので、
 逆にあまり心配はしておりませぬ。
 それよりも黒猫氏ときりりん氏のお気持ちを想像すると居ても立ってもおられないのですよ』

「―――――そうだな」
『ざっくりいうと京介氏は今、不倫をしているわけですし』
「おい!!」
『黒猫氏にさせているとも言えます』
「―――!!」

『・・・・・拙者の頼みはひとつだけでござりまする』
「なんだよ」
『拙者の大事な友人たちを悲しませたりしたら承知しませぬよ?』
「わかってるよ、俺だってサークルクラッシャーなんて呼ばれたくないしな」
『それを聞けて安心しました、では!』

電話を切ったあと俺は宙を見つめながら、
今、自分の置かれてる現状のややこしさにあらためて困惑していた。

「人生相談・・・俺は誰にすりゃいいんだ?」

誰に、というわけでもなく尋ねてみるのだった―――


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