過去ログ - 【俺妹SS】俺と妹が夫婦なわけがない!
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71: ◆NAZC84MvIo[sage sage]
2011/04/06(水) 18:16:23.56 ID:14Ay9U450
「遅いわね」
「だから言っただろ、あいつは今日撮影で遅くなるって!」
「全く・・・冷めちゃうじゃない」
我が家のテーブルに並ぶ手の込んだ食事――これは黒猫が作ってくれたものだ。
こちらの予定も聞かず唐突に現れて仲直りに来たと言い、あっという間に夕飯を作ってしまった。

「・・・先に食うか?」
「あら、あなたにそんな事が出来るのかしら?」
まあ無理だよ、うん。桐乃の帰宅が遅くなる日に黒猫の手料理を二人っきりで?
しかも別れた直後にだぜ、何のフラグだよ。死亡フラグにしか見えないっつーの。
さっさと食べ終えて帰らせるのも、この時間だともう無理だ。

「何よ、その居心地悪そうな顔は」
「いや、だってさあ。こう言っちゃなんだが何故来たし!?」
「あなたの言う通りあの女と仲直りしに来てあげたのに随分な言い草ね?」
「それならあいつが居る時に来いよ!大体あいつにはもう別れた事話したんだろ!?」
「まったく何をそんなに焦っているのかしら?妹の機嫌を損ねるのがそんなに怖いの?」
「そんなんじゃなくてだな・・・」「ただいまー」
黒猫とそんなやりとりをしているうちに桐乃が帰ってきた――

「今日のご飯なに――って、何であんたが居るの!?」
「あなたに会いに来たのよ」
黒猫のきっぱりとした口調に桐乃は怒りのオーラを少し引っ込める。
でもこの状況ってヘタすると修羅場じゃね?

「ふ、ふ〜ん。まあそうよね。別れた彼氏の家になんかフツー来ないし」
「そうよ、だから今日は“お兄ちゃんを盗られて落ち込んでる妹”を慰めに来たの」
「は、はあ!?誰も落ち込んでなんかないし、勝手なこと言わないでくれる!?」
「では浮かれてたのかしら?やがて捨てられる運命だと言うのに」
「誰が捨てられる運命だってのよ!?」
「ねぇ京介、いつ奥さんと別れてくれるのかしら?」
わざとらしく名前で呼びながら身をすり寄せてくる――
って桐乃を挑発してどうするんだよ!?仲直りしに来たんじゃないのかよ!?

「こ、こ、こ、この泥棒猫!!なに人の旦那盗る気満々なのよ!?」
「ど、泥棒猫!?しかも旦那って桐乃・・・」
「それで牽制のつもりかしら?勝手にひとの恋人と婚姻届を出すあなたこそ泥棒猫ではなくて?」
「フンッ!!きっかけはどうあれ今のこの関係は合意の上ですぅ!」
「ふふふ、では4年後の離婚も合意の上よね?可哀想に・・・
 あなたが二十歳になったその時は、姉として私が慰めてあげるわ」
「な、何ふざけたこと言ってんの!大体あたし、アンタの妹になった覚えはないんですけど?」
「あなたの兄さんとお付き合いするのだから、いずれそうなるでしょう?」
「兄貴じゃなくて夫だし!!」
「あらあら、そう言ってもあなたのご主人はあなたを妹としか思ってないそうよ?」
「ぐ・・・フ、フられた女が何を言っても負け犬の遠吠えにしか聞こえないんですけどぉ?」
「私はフられた訳ではないわ、フったのよ。」
「そうなの!?」
思いがけない黒猫のセリフにショックを受け、思わず首を突っ込むと、
片目でこちらを睨みつつこう告げてきた――

「――友人“3人”と恋人1人、天秤にかけて友人をとったのよ。
 恋人としてのあなたに友人3人分以上の価値は無かったわ」
「その言い方、凄くキツイです・・・」
確かに黒猫が俺と別れる事を選ばなければ沙織を含めた4人の関係は破綻してただろう。
でも、その言い方はひどくない?ねえ?やっぱりちょっと怒ってらっしゃる?

「それに“お兄ちゃんを盗られて落ち込んでる妹”を見てると
 友人としてとても不憫で可哀想だから、しばらく彼氏を貸してあげることにしたのよ」
「借りた覚えなんか無いし!そもそもこいつは、あ、あたしのだから!!」
「そうね、あなたのお兄さんよね」
殊更“兄”“妹”を強調する黒猫。お前ホントはケンカしに来ただろ!?

「全くこの女はいつになったら兄離れしてくれるのかしら?兄さんも大変よね」
こらっ!テメーこっちに話題を振るんじゃねーよ!ああ桐乃が睨んでる!!

「ふ、ふふ・・・そういやアンタの彼氏って、確か妹の為に彼女と別れたんじゃなかったっけ?」
「な、何を言うの?」
「べっつにー?“妹に彼氏を盗られちゃった可哀想な女”がいたなぁって思っただけ。
 シスコンと付き合うのって大変よねー、彼氏は恋人より妹を優先するんだから!」
おお・・・桐乃の奴、妹の立場を利用して反撃しやがった。

「兄離れを期待する前に、妹離れをさせないとまたフられるんじゃな〜い?」
「だ、誰がフられるというの!!」
「一年くらい付き合った挙句、彼氏に妹の方が大事って思われちゃった可哀想な女かな〜」
しっかしああ言えばこう言うって表現がピッタリだな、こいつら。
いつまで口喧嘩続ける気だよ、すっかり飯も冷めちまったじゃねーか。

――でも、昔からこいつらの会話っていつもこんな感じだったよな――

どこか居心地の良い懐かしさを感じ、そんなことを考えながら俺は二人の“ケンカ”を眺めていた。


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